建設業で安定した収入を得たい、将来は現場をまとめる立場になりたい――。
そう考えるなら、目指したいのが「資格の取得」です。
資格は努力を数字と肩書で示すことができる唯一の手段であり、未経験からでも、収入やキャリアを着実に伸ばせるのが、建設業の大きな魅力です。
ここでは、資格がなぜ重要なのか、どんな資格をどの順序で取るとキャリアアップにつながるのかを詳しく解説します。
なぜ建設業で「資格」が重要なのか?

建設業界では「資格があるかどうか」で任される仕事の範囲も収入も変わります。
特に施工管理や技術職は、資格を持たないとできない業務があり、会社にとっても資格者は欠かせない存在です。
法律による「配置義務」がある
建設業法では、工事ごとに「主任技術者」を配置し、一定規模以上の下請契約を伴う工事では「監理技術者」を置くことが義務づけられています。
これらの職務に就くには国家資格が必要で、資格がなければ工事を請け負えない場合もあります。
つまり、資格は現場を動かすための「許可証」であり、会社の信頼や受注にも直結する重要な要素です。
主任技術者は1級・2級施工管理技士、監理技術者は1級施工管理技士の取得が原則条件です。
多様な専門分野で強みを発揮できる
建設業には、建築・土木・電気・管工事など多くの分野があります。
それぞれに専用の資格があり、求められる知識やスキルも異なります。
資格を取得することで、「自分はどの分野のプロか」を明確にでき、専門職としてのキャリアを築けます。
建設業で資格を取得する5つのメリット

資格を取ることには、単なるスキル証明以上の意味があります。代表的な5つのメリットを紹介します。
1. キャリアアップ・昇進のチャンスが増える
多くの企業では、施工管理技士や技能士などの資格が昇進・昇格の条件になっています。
現場作業員から職長、現場監督(主任技術者・現場代理人など)へとステップアップしていくために、資格の取得は避けて通れません。資格を取得することで、次のポジションへのチャンスが広がるのも建設業の魅力です。
2. 給与・待遇が大きく改善する
資格を取得すると、多くの会社で資格手当が支給されます。月5,000円〜3万円が一般的で、上位資格になるほど金額は高くなります。
また、昇進により基本給も上がるため、年収が50万円以上アップするケースも珍しくありません。
厚生労働省の調査(※)などでも、建設業で資格手当を支給している企業は6割程度とされており、努力が収入に直結しやすい業界です。
※参照|厚生労働省 - 資格・検定等の人員配置、昇格及び賃金への反映状況等に係る研究会 とりまとめ
3. 仕事の幅が広がる
業種によっては、資格がなければ、補助的な業務しかできない場合があります。資格を持つことで、補助的な作業から実作業、さらには管理業務へとステージが上がります。
施工計画、安全管理、工程・原価管理など、プロジェクト全体を動かす中心的な役割を担えるようになり、任される範囲も広がりますが、評価や収入としてしっかり返ってきます。
4. 社内外からの信頼が高まる
国家資格を持つということは、知識と技術を国が正式に認めた証です。
発注者や取引先との打ち合わせの際、有資格者であることは「この人に任せれば安心」という信頼につながります。社内でも専門的な視点を持つ人として頼られることが増え、仕事への誇りとやりがいを実感できます。
5. 転職・独立に圧倒的に有利
建設業の資格は全国共通です。
そのため、一度取得すれば、万が一会社を辞めることになっても、次の職場で即戦力として高く評価されます。また、有資格者が多い会社は公共工事の入札で評価(経営事項審査)が上がり、より大きな仕事を受注しやすくなるというメリットがあるため、企業側も資格者を積極的に採用しています。
》建設業の平均年収って実際どう?国の最新統計で業界別・職種別に徹底比較!
【ステップ別】未経験から目指せる!建設業の主要資格とは?

建設業の資格は、まず現場で必要な作業系資格から始まり、経験を積みながら技能士・施工管理技士・建築士など、より専門的な資格へとステップアップしていくのが一般的です。
ここでは、未経験から順に目指せる資格を紹介します。
まずは現場で必須の「作業系資格」から
最初に目指すのは、短期間で取得できる「技能講習」や「特別教育」です。
代表的な資格には、「玉掛け技能講習」(クレーンなどで荷を掛け外しする作業)や、「足場の組立て等作業主任者技能講習」(高所作業の安全管理を行う責任者)、「車両系建設機械運転技能講習」(ショベルカーなどの重機操作)、「フォークリフト運転技能講習」(資材運搬用の車両操作)などがあります。
これらは労働安全衛生法で定められた、安全作業のための必須資格です。
入社直後から受講を推奨されるケースが多く、多くの場合、数日間の講習と修了試験で取得可能で、費用も会社が負担してくれることがほとんどです。
未経験者が現場に立つための、最初の通行手形ともいえる資格群です。
職人の技術を証明する「技能士」
「作業系資格」が作業の「許可」であるのに対し、こちらは各職種の「熟練度(スキル)」を証明する国家資格です。
「左官技能士」(塗り壁やモルタル仕上げ)、「とび技能士」(足場・鉄骨の組立や解体)、「配管技能士」(給排水やガス配管の施工・加工)のほか、「建築大工技能士」(木造建築の施工・加工)や「塗装技能士」(建築塗装や金属塗装)などがあります。
等級によって技術レベルが明確に区分されており、資格に応じた実務経験が必要になりますが、上位資格を取るほど評価や単価が上がります。
現場では「技能士=確かな腕の持ち主」として信頼され、職長や後進の指導役に抜擢されるケースも多くあります。
》塗装工に資格は必要?取得するメリットとキャリアに役立つ資格を紹介!
専門技術のスペシャリスト「電気工事士」「消防設備士」など
電気や消防設備の工事において、工事や点検を行うために必須となる国家資格です。
これらは「独占業務」の代表格で、法律で資格保有者による施工・点検が義務づけられているものが多く、資格者の需要は常に高い分野です。
「電気工事士(第一種・第二種)」は、住宅やオフィス、工場などで電気配線や設備の工事を行うための必須資格。
一方、「消防設備士」は、スプリンクラーや火災報知器の設置・点検を担い、消防法に基づいて業務を行います。
いずれも生活インフラに関わる仕事であり、景気に左右されにくい安定した資格です。
》電気系資格で初心者が最初に取るべき資格は?種類や取得する順番を解説!
》消防設備士の難易度は高い?種類や資格別の難易度、取るべき順番を徹底解説!
現場管理の中心を担う「施工管理技士」
未経験から入社し、将来的に「現場監督」としてキャリアアップを目指すなら、最重要となるのがこの「施工管理技士」です。現場全体のマネジメント(安全・品質・工程・原価)を行う、建設業の中核資格であり、「主任技術者」「監理技術者」になるために必須です。
区分は「建築施工管理技士」(建物工事)、「土木施工管理技士」(道路や橋、ダムなど)、「電気工事施工管理技士」(電気設備工事)、「管工事施工管理技士」(空調や給排水など)など。
分野は異なりますが、いずれも現場を統括し、プロジェクトを円滑に進める中心的な役割を担います。
近年は「技士補」制度が整い、「2級施工管理技士補(一次検定)」は年度末時点で17歳以上であれば実務経験がなくても受験可能。技士補は、現場で実務を支えながら経験を積める制度で、未経験からでも挑戦できる第一歩として注目されています。
設計・監理を担う「建築士」
建物の「設計」や、設計図通りに工事が行われているかをチェックする「工事監理」を行うための国家資格です。
「二級建築士」は、大学や専門学校で建築を学んだ人だけでなく、実務経験を積めば誰でも受験できる道が用意されています。
「一級建築士」はその上位資格で、大型建築物や公共施設にも携われる専門性の高い資格です。
現場経験を積んでから設計職へ進む人も多く、施工・設計の両方を理解した人材として活躍の幅が広がります。
未経験から資格取得までの「最短ロードマップ」

では、未経験者がこれらの価値ある資格を取得するには、具体的にどう動けばよいのでしょうか。
資格を取るには、勉強だけではなく実務経験も欠かせません。
ここでは、未経験者がスムーズに資格取得まで進むための3つのステップを紹介します。
1.「未経験歓迎」の会社で実務経験を積む
技術職、管理職どちらの道でも上位資格は、受験資格に一定の実務経験が必要です。
そのため、まずは未経験から入社できる企業で現場に立ち、仕事の流れを肌で覚えることが第一歩。
最初は補助的な作業からでも、材料の扱い方や職人との連携など、すべてが将来の資格取得につながります。
2.働きながら勉強する
建設業界の資格取得は、日中働きながら、夜間や休日に勉強時間を確保する「実務との両立」が基本スタイルです。
独学でも資格取得は可能で、資格に対応した学習アプリがあれば、スキマ時間も有効活用可能です。
また、難易度が高い資格は、通信講座やスクールを活用するケースもあり、仕事で生まれた疑問をそのまま勉強で解決できます。
無理に時間をつくるより、日々の仕事を学びの場に変えることが、合格への近道になります。
3.「資格取得支援制度」のある会社を選ぶ
受験料や講習費を会社が負担してくれる「資格取得支援制度」を設ける企業が増えています。
合格時に報奨金や資格手当が支給されるなど、社員の成長を応援する環境が整っている会社なら安心です。
求人サイトで仕事を探す際は、「未経験者歓迎」というキーワードだけでなく、「資格取得支援あり」という条件をチェックしてみてください。 社員のスキルアップを全力でバックアップしてくれる会社を見極めることができるでしょう。
あわせて、「建設キャリアアップシステム(CCUS)」への登録も進めておくと安心です。
CCUSは、国土交通省が推進する建設技能者のキャリアを「見える化」する制度で、資格や実務経験を登録しておくことで、スキルを客観的に証明できます。
資格取得とCCUSの活用を組み合わせることで、より確実にキャリアアップや待遇改善につながります。
》建設キャリアアップシステム(CCUS)登録のメリットは?技能者向けに解説
まとめ

今回は、建設業の資格の重要性から、具体的なメリット、未経験者向けのキャリアパスまでを解説しました。
建設業の魅力は、あなたの努力が「資格」「キャリア」「収入」という目に見えるかたちで報われることです。
多くの価値ある資格が「実務経験」を必須としているからこそ、未経験者にも平等にチャンスがあります。コツコツと続けた人ほど、確実にステップアップできるのが、この業界の醍醐味です。
だからこそ、未経験の方にとって重要なのは、「資格取得支援制度」が整った会社に飛び込むこと。あなたの挑戦を本気で応援してくれる環境を選ぶことが、未来を切り開く最も確実な第一歩となります。
資格は「安定」だけでなく、「自分の力で生きていける」という本物の自信を与えてくれます。
街をつくり、暮らしを支える仕事の中で、あなた自身の未来も着実に築いていきませんか?
「手に職」をつける第一歩。安心の会社探しはキャリコンジョブで
建設業の資格は、一度取得すれば全国どこでも通用する、まさに「一生モノの武器」です。 そして、その武器を手に入れるために必要な「実務経験」は、あなたがこれから働く会社でしか得られません。
だからこそ、最初の「会社選び」が何よりも重要です。
建設業界に特化した求人サイト「キャリコンジョブ」では、この記事でご紹介したような「資格取得支援制度」はもちろん、「研修制度」や「福利厚生」が充実した、未経験者が安心してキャリアをスタートできる求人を多数、掲載しています。
「本当に未経験でも大丈夫だろうか?」 そんな不安を安心に変える優良企業が、あなたを待っています。まずはどんな求人があるか、チェックしてみてください。