
「建設業は稼げるって聞くけど、本当?」
「きつい仕事のイメージに見合った給料なのだろうか?」
社会の基盤を支える建設業。専門性が高く、時に体力が求められるこの仕事に、そんな疑問を抱いている方も多いかもしれません。
結論から言えば、建設業は日本の産業の中でもトップクラスの収入が期待できる、将来性豊かな業界です。しかし、その年収は年齢や地域、そして職種によって大きく変わるのも事実です。この記事では、国の最新統計データを基に、建設業の年収事情を徹底解説。職種別・年齢別の収入差から、他業界との比較、そして年収アップを実現するためのポイントまで、詳しく掘り下げていきます。
これから建設業界を目指す方、そしてすでに業界で活躍されている方のキャリアアップの参考になれば幸いです。
建設業の平均年収は?
専門的な技術が求められる建設業は、その分、収入面でもやりがいを感じられる仕事です。
では、実際の平均年収はどのくらいなのでしょうか。国の二つの主要な統計データから見ていきましょう。
建設業の平均給与:約548万円
建設業の平均年収:約565万円
調査によって多少の差はありますが、これらの結果から建設業の平均年収は550万円前後と見てよいでしょう。
さらに、過去のデータを見るとその傾向はより鮮明になります。
こちらは、「民間給与実態統計調査」の過去5年間のデータを基にした平均給与の推移です。
次に、もう一つの主要な統計である厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」の推移も見てみましょう。
これら二つの調査結果から、建設業の平均年収は上昇トレンドにあり、近年は特に高い水準で推移していることが見て取れます。この背景には、全国各地で進む再開発やインフラの老朽化対策、リニア中央新幹線の建設といった巨大プロジェクトによる高い需要があります。一方で、業界全体で技術者の不足が課題となっており、一人ひとりの人材価値が高まっているのです。
年齢別の平均年収
建設業は、まさに「経験がモノを言う」世界です。下のグラフが示す通り、20代から経験を積むごとに年収は右肩上がりに上昇し、50代後半で約694万円とピークを迎えます。これは単なる年功序列ではなく、現場で培った技術やマネジメント能力が、給与という形で正当に評価される証と言えるでしょう。
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(学歴、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)」より作成
都道府県別の平均年収
働く場所も年収を左右する大きな要因です。ここでは、いくつかの都道府県をピックアップしました。
大規模な建設プロジェクトが集中する東京都が657万円と突出して高く、次いで福岡県、宮城県と続きます。都市部の再開発や、復興関連の需要が年収を押し上げていると考えられます。地方で働く場合でも、その地域の中核都市では高い給与水準が期待できることがわかります。
出典:厚生労働省「令和6年 賃金構造基本統計調査(都道府県、年齢階級別きまって支給する現金給与額、所定内給与額及び年間賞与その他特別給与額)」より作成
他業界の平均年収は?
では、他の業界と比べた時、建設業はどの位置にいるのでしょうか。
下記の図では平均年収の高い10業種をピックアップしました。
比較した10業種の中で、建設業は第5位に位置しています。電気・ガスといったインフラ業界や、金融・情報通信といった高度な専門知識が求められる業界と肩を並べており、日本の産業全体で見ても、非常に高い給与水準であることが分かります。
建設業で年収が高い業種は?
ひと口に「建設業」といっても、その仕事内容は多岐にわたります。建物そのものを造るだけでなく、その中にある電気設備や機械、通信システムなども建設プロジェクトの重要な要素です。
ここでは「令和6年 賃金構造基本統計調査の職種別データ」を基に、建設業界で特に高い年収が期待できる専門職をご紹介します。
1. 電気・電子・電気通信技術者(通信ネットワーク技術者を除く)(平均年収:755.2万円)
建設関連の職種の中で最も高い年収を誇るのが、電気関連の専門技術者です。現代のビルやプラントに不可欠な、電気設備などの設計・施工管理を担います。もはやIT業界とも融合する、最先端の知識が求められる分野です。
(区分:情報機器開発技術者、電気機械設計技術者、半導体製品製造技術者、電気設計技術員、電気工事施工管理技術者)
2. 機械技術者(平均年収:669.4万円)
大規模な商業施設や工場の空調・給排水・消防設備、工場の生産ラインなど、建築物内外の「動く仕組み」を設計・施工する専門家です。人々の快適性や安全性を支え、省エネ技術にも精通する、まさに縁の下の力持ちと言えます。
(区分:機械技術士、機械設計技術者、プラント設計技術者)
3. 建築技術者(平均年収:641.6万円)
建物の設計から工事監理まで、プロジェクト全体を統括する建設業の“花形”です。多くの人が「建設業」と聞いてイメージする代表的な専門職であり、「建築士」や「建築施工管理技士」などの国家資格がキャリアアップに直結します。
(区分:建築士、建築設計監督技術者、建築現場監督、建設施行管理技術者(一般に言う建築施工管理技士など)
4. 土木技術者(平均年収:596.5万円)
道路、橋、トンネル、ダムといった社会インフラを創り、守る重要な役割を担います。人々の生活に欠かせない、地図に残るスケールの大きな仕事が魅力で、公共事業が中心となるためキャリアの安定性も高い職種です。
(区分:建設技術士、道路技術者、土木現場監督、庭園設計技術者)
5. 建設躯体工事従事者(平均年収:506.0万円)
建物の基礎や骨格を造り上げる、現場作業の中核を担う技能職です。その技術がなければ、どんな設計図も形になりません。経験と腕前が直接評価される、まさに現場のプロフェッショナルです。
(区分:型枠大工、とび職、鉄筋組立工、鉄筋切断工、取り壊し作業者)
※区分については下記を参照しています。
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建設業で年収アップを目指すために必要なこと
建設業界は、働き方改革や人材不足といった課題に直面する一方、公共事業や民間投資は堅調で、成長の機会に満ちた業界です。その中で、さらなる年収アップを目指すための3つのポイントをご紹介します。
しっかりキャリアを積んでいく
年齢別データが示す通り、建設業は経験がダイレクトに評価される世界で、経験が浅い20代よりも、経験豊富な30~50代の年収の方が高い傾向があります。
建設業界で年収アップを目指すのなら、他の業界に転職するよりも、腰を据えて技術と実績を積むことが、鍵となります。
資格を取得する
建設業は単なる年功序列ではなく、スキルや資格が重視されます。「施工管理技士」や「建築士」といった国家資格を取得すれば、担当できる業務の幅が広がり、資格手当はもちろん、より責任ある立場への昇進にも繋がります。知識と技術を、価値ある資格へと変えましょう。
能力を評価してくれる会社に転職する
もし、現在の職場で正当な評価を得られていないと感じるなら、転職も有効な選択肢です。建設業界は今や引く手あまた。特に近年は、従業員のワークライフバランスを重視する企業も増えています。自分の能力と経験を高く評価してくれる環境に身を置くことで、年収は大きく変わる可能性があります。
独立という手もありますが、今は先行きが不透明な社会情勢なので、まずは良い待遇で迎えてくれる会社でキャリアに磨きをかけるほうが得策でしょう。
まとめ
今回は、国の最新データをもとに、建設業のリアルな年収事情を深掘りしてきました。
結論として、建設業の平均年収は日本の産業の中でも高水準であり、それは単なるスタートラインに過ぎません。あなたの年収は、年齢と共に積み重ねる経験、専門性を高める資格、そして働く地域や職種によって大きく変わっていきます。
特にこの記事を通して見えてきたのは、自分自身のスキルと経験を正当に評価し、成長を後押ししてくれる「環境」を選ぶことの重要性です。社会の基盤を創り、人々の生活を支えるという大きなやりがい。そして、その貢献が「収入」という確かな形で報われること。この二つを両立できるのが、建設業という仕事の最大の魅力と言えるでしょう。
この記事が、あなたの持つ可能性を再発見し、未来のキャリアプランを描くための羅針盤となれば幸いです。自信を持って、次の一歩を踏み出しましょう。
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