「将来性のある消防設備士を取りたいけど、難易度ってどれくらい?」
「種類がたくさんあるけど、未経験ならどれから取る順番が正解?」
消防設備の点検や工事を行う「消防設備士」は、法律で定められた独占業務であり、資格手当による給与アップも期待できる一生モノの国家資格です。
しかし、合格率は30〜40%前後。難易度は難関という訳ではありませんが、理系知識や実技試験の壁があるため、対策なしで挑むと挫折することになります。
この記事では、建設業特化の求人サイトを運営する私たちが、一生モノのスキルとも言える消防設備士について、資格の種類や難易度、そしてキャリアプランに応じたおすすめの取得順まで、分かりやすく解説します。
消防設備士とは?どんな種類がある?

消防法により、建物にはその規模や用途に応じて、消火器や火災報知器といった消防設備の設置が義務付けられています。これらの消防設備の点検・整備・工事を行える国家資格が「消防設備士」です。
消防設備士の資格は、取り扱える設備に応じて13種類に分かれています。
・乙種(第1類〜第7類):消防設備の整備・点検が可能。
・甲種(第1類〜第5類、特類):消防設備の整備・点検に加え、設置・改修工事も可能。
乙種は受験資格がなく誰でもチャレンジできるため、未経験からのスタートに最適です。一方、甲種は工事まで手掛けられる専門性の高い資格で、受験するには学歴や実務経験などが必要です。

消防設備士の難易度・合格率
消防設備士試験の合格率の推移
ここからは、消防設備士試験の難易度を、過去5年間のデータから見ていきましょう。
<甲種>

<乙種>

甲種は毎年4万人、乙種は毎年10万人程度が受験する人気の資格です。
合格率は甲種が30%前後、乙種が40%弱で推移しており、工事も担う甲種の方が難易度は高くなっています。
特に甲種は、筆記試験に加えて実技試験で「製図」が出題されるため、より専門的な対策が必要です。一方、乙種は甲種に比べて出題範囲が限定的なため、比較的対策しやすいと言えるでしょう。
勉強時間の目安は、初学者の方や難易度の高い類を受験する場合、1日2〜3時間の学習で2〜3ヶ月程度が一般的です。
【種類別】合格率から見る難易度の傾向
さらに令和5年〜7年で、資格の種類別に細かく見ていきましょう。
種類ごとの合格率を見てみると、難易度の傾向がより鮮明になります。
(※直近3年間の平均的な合格率を参考に抜粋)
難易度が高い
-甲種第1類 (合格率20%台前半):スプリンクラーなど大規模な水系消火設備を扱います。物理や水理学の深い理解が求められ、実技の製図も複雑なため、最難関の一つです。
-甲種特類 (合格率30%前後):最新技術を用いた特殊な設備が対象。幅広い知識と経験が問われ、そもそも受験資格を得るハードルが高い、まさにエキスパート向けの資格です。
比較的合格率が高い
-乙種第7類 (合格率60%前後):漏電火災警報器に特化しており、範囲が狭く対策しやすいのが特徴です。
-乙種第6類 (合格率40%弱):最も身近な消火器が対象。需要が高く、初挑戦に選ばれることが多い人気の類です。
<甲種>
<乙種>

なぜ消防設備士の難易度は高いのか?
国家資格の中で合格率30〜40%は決して極端に低い数字ではありませんが、対策なしで挑むと確実に不合格になります。多くの受験者がつまずく「壁」は以下の2点です。
文系にはハードルが高い「基礎的知識」と「足切り」
筆記試験の「基礎的知識」では、機械や電気の基礎(曲げモーメントなどの計算問題)が出題されます 。理系であれば難易度は高くありませんが、文系出身者にとっては専門用語や計算が最初の壁になります。さらに、試験は全体で60%以上の正答率が必要なだけでなく、「各科目で40%以上」という足切りラインが設定されているため 、苦手科目(捨て科目)を作れない厳しさがあります。
最大の難関「実技試験(鑑別・製図)」
甲種・乙種ともにある「鑑別」と、甲種のみにある「製図」が大きな壁です。実技といっても実際に機器を触るわけではありませんが、記述式で解答するため、選択問題のように「なんとなく」では正解できません。
実技試験は、以下の方法で対策することができます。
•鑑別問題:写真や図解が多く掲載されている問題集を選び、機器の形や名称を視覚的に覚えることが重要です。
•製図問題(甲種):参考書を眺めるだけでは解けません。機器の設置基準を完璧に暗記した上で、模範解答を何度も書き写し、「手を動かして体で覚える」といったような対策が合格への最短ルートです。
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受験資格と試験概要は?

消防設備士の資格に挑戦する前に、誰が受験できて、どのような試験なのかを把握しておきましょう。
受験資格
乙種
学歴、実務経験、年齢などの制限は一切なく、誰でも受験できます。
未経験から建設・設備業界への一歩を踏み出す方に最適な入り口です。
甲種
乙種と異なり、専門性が高いため以下のいずれかの受験資格を満たす必要があります。
ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
※下記は一例です。詳細は必ず消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。
①学歴
大学、短期大学、高等専門学校(高専)などで、機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科や課程を修めて卒業した方。
②資格
第二種電気工事士、一級・二級建築士、技術士など、関連する国家資格を保有している方。
③実務経験
-乙種の消防設備士免状を取得後、2年以上の実務経験を積んだ方。
-消防設備の工事や整備に関する補助者として、5年以上の実務経験がある方。
試験概要
試験形式
「筆記試験(マークシート方式)」と「実技試験(記述式)」の両方を受験します。
試験科目
筆記試験は、「消防関係法令」「基礎的知識(機械・電気など)」「消防用設備等の構造・機能」の3分野から出題されます。
実技試験では、写真やイラストを見て設備の名称や使い方を答える「鑑別等」が出題されます。甲種の場合は、これに加えて配線図や系統図を作成する「製図」も課されます。
合格基準
合格するには、以下の両方の基準を満たす必要があります。
-筆記試験で、各科目40%以上、かつ全体で60%以上の正答率であること。
-実技試験で、60%以上の正答率であること。
試験日程、申込
試験は各都道府県で年に複数回実施されます。日程の詳細は、お住まいの地域の消防試験研究センターのWebサイトで確認できます。
申し込みは、インターネットによる電子申請か、願書を郵送する書面申請で行います。
<他資格による「科目免除」>
電気工事士や電気主任技術者などの国家資格を持っていると、消防設備士試験の「基礎的知識」や「構造・機能」のうち電気に関する部分が免除されます。試験範囲が狭まるため学習の負担が減り、難易度を下げることができます。ただし、免除を受けると試験時間が短縮され、残りの問題(法令など)の配点比重が大きくなります。そのため、「電気分野が得意ならあえて免除を受けず、得点源にして全体の合格率(60%以上)を引き上げる」という戦略も一つの選択肢です。
【目的別】消防設備士資格、取るべきおすすめの順番は?

未経験から業界を目指すなら
最初に取得すべきは、ほぼ全ての建物に設置されている消火器を扱える「乙種第6類」です。受験資格がなく、最も汎用性が高いため、実務経験を積む第一歩として最適です。
次に、火災報知器を扱える「乙種第4類」を取得すると、点検できる設備の幅が大きく広がります。この2つがあれば、多くの現場で活躍できるでしょう。
乙6・乙4は「ビルメン4点セット」の構成要素でもあり、ビルメンテナンス業界を目指す方の入口資格として特に重宝されます。
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キャリアアップを目指すなら
すでに実務経験があり、受験資格を満たしている方は、甲種を目指しましょう。
乙種と同様に需要が高い「甲種第4類(火災報知器)」は、キャリアアップの軸となる資格です。ここから、難易度が高く、価値も高い「甲種第1類(スプリンクラー等)に挑戦するのが王道のステップアップと言えます。
実際に当サイト「キャリコンジョブ」の求人でも、「甲種1類保持者歓迎・月給50万円も可能」「首都圏の多様な現場で技術を活かす」といった、より大規模な施設(空港や公共施設など)の現場を任される高待遇求人が目立ちます。需要の広い「甲種4類」で土台を固め、最難関である「甲種1類」で一気に市場価値を高めるのが、最も効率よく年収を上げる王道ルートです。
受験資格がなくても甲種に挑戦したい場合
「実務経験はないけど、最初から甲種に挑戦したい」という方には、先に「第二種電気工事士」の資格を取得するというルートがおすすめです。
第二種電気工事士は受験資格がなく、消防設備とも関連性の高い資格です。この資格を取得すると、消防設備士の甲種の受験資格が手に入ります。 遠回りに見えて、電気と消防の両方に強い人材になれる、非常に有効な戦略です。
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【補足】取得後も価値が落ちない理由(法定講習)
最後に、消防設備士資格の大きな特徴をお伝えします。消防設備士は「一度取って終わり」の資格ではありません。新しい知識や技能を維持するため、免状交付後最初の4月1日から2年以内、その後は5年ごとに「法定講習」の受講が義務付けられています。
「講習を受けるのが面倒」と思うかもしれませんが、裏を返せば「有資格者は常に最新の専門知識を持っていることが国から担保されている」ということです。だからこそ、企業からの需要が途切れることはなく、転職市場において一生モノの価値を発揮し続けるのです。
【独自調査】難易度が高い資格はいくら稼げる?求人データに見る「年収・手当」のリアル
「合格率30%」や「実技試験の難しさ」を聞くと、尻込みしてしまうかもしれません。
しかし、当サイト「キャリコンジョブ」に掲載されている求人データを見ると、その難しさを超えるだけの価値が十分にあるとわかります。
未経験でも好待遇
「未経験でも月給24万〜30万円スタート」「未経験から年収400万円以上」といった求人が多数存在します。
資格と経験でさらに跳ね上がる
資格を取得し経験を積むことで、「月給30万円〜50万円」「31歳で年収500万円」「賞与最大7ヶ月分」といった高水準の待遇を提示する企業も珍しくありません。
資格1つにつき「月額1万円」の手当も
甲種・乙種を問わず、資格を1種類取得するごとに月額10,000円の資格手当が支給される企業が存在します。例えば「乙6」と「甲4」を複数取得すれば、手当だけで年間数十万円の収入アップも現実的です。
一方で、求人データの中には「資格手当なし」と明記されている企業や、金額が不透明な企業も存在します。
消防設備士は法律で守られた「なくならない仕事」です。しかし、取得した努力が給与に直結するかどうかは企業選びにかかっています。難しいからこそ、しっかりと手当として還元してくれる企業を特化型求人サイトで見極めましょう。
まとめ

消防設備士は、法律で定められた独占業務を持つ、安定性と将来性に優れた国家資格です。資格保有者は就職や転職で有利になるだけでなく、資格手当による収入アップも見込めます。
本記事のポイントを振り返りましょう。
・資格の概要:整備・点検のみの乙種と、工事まで可能な甲種がある。
・難易度と合格率:甲種が約30%、乙種が約40%。計画的な学習が合格の鍵。
・価値の高い類:特に甲種第1類、甲種第4類は需要が高く、キャリアの柱となる。
・おすすめの順番:未経験なら「乙種6類」から。ステップアップには「甲種4類」が中心。実務経験がない場合は「第二種電気工事士」からの挑戦も有効。
まずは自分のキャリアプランを考え、どの類から挑戦するか検討してみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの資格取得への第一歩となれば幸いです。
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