「将来性のある消防設備士を取りたいけど、難易度ってどれくらい?」
「種類がたくさんあるけど、未経験ならどれから取る順番が正解?」
消防設備の点検や工事を行う「消防設備士」は、法律で定められた独占業務であり、資格手当による給与アップも期待できる一生モノの国家資格です。
しかし、合格率は30〜40%前後。難易度は難関という訳ではありませんが、理系知識や実技試験の壁があるため、対策なしで挑むと挫折することになります。
この記事では、建設業特化の求人サイトを運営する私たちが、一生モノのスキルとも言える消防設備士について、資格の種類や難易度、そしてキャリアプランに応じたおすすめの取得順まで、分かりやすく解説します。
【結論】消防設備士13種類の難易度ランキング|令和7年度の合格率が高い順

消防設備士の難易度は、13種類ある免状のどれを受けるかでほとんど決まります。まず結論からお伝えします。一般財団法人消防試験研究センターが公表した令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の年間確定値をもとに、合格率が高い、つまり取りやすい順に13種類を並べると次のとおりです。括弧内はその年度の受験者数です。
・1位 乙種第7類 64.7%(受験者5,822人)
・2位 乙種第5類 41.2%(1,168人)
・3位 甲種第5類 40.5%(4,226人)
・4位 乙種第6類 35.6%(32,400人)
・5位 甲種第4類 34.5%(21,819人)
・6位 乙種第4類 34.0%(8,047人)
・7位 甲種特類 31.9%(1,292人)
・8位 甲種第3類 31.6%(4,353人)
・9位 乙種第2類 29.7%(790人)
・10位 甲種第1類 28.7%(12,934人)
・11位 乙種第1類 28.5%(2,048人)
・12位 甲種第2類 27.2%(4,334人)
・13位 乙種第3類 26.8%(965人)
この一覧から読み取れることは3つあります。
1つ目は、突出して簡単なのは乙種第7類だけということです。残りの12種類は27〜41%の帯に収まっており、甲種と乙種の間にも、類の番号の間にも、極端な差はありません。
2つ目は、受験者の過半が乙種第6類と甲種第4類に集まっていることです。両者を合わせると54,219人で、全受験者100,198人の54%を占めます。「最初の1枚」は事実上この2つで決まっており、難易度もどちらも中位です。合格率の順位だけで受ける類を選ぶ必要はありません。
3つ目は、合格率が最も低いのは乙種第3類・甲種第2類・乙種第1類・甲種第1類の4つですが、この中で受験者が1万人を超えるのは甲種第1類だけということです。実務での価値と受験者の多さを考えると、甲種第1類(28.7%)が事実上の最難関と言えます。
参照|一般財団法人消防試験研究センター - 試験実施状況(令和7年度)
消防設備士とは?どんな種類がある?

消防法により、建物にはその規模や用途に応じて、消火器や火災報知器といった消防設備の設置が義務付けられています。これらの消防設備の点検・整備・工事を行える国家資格が「消防設備士」です。
消防設備士の資格は、取り扱える設備に応じて13種類に分かれています。
・乙種(第1類〜第7類):消防設備の整備・点検が可能。
・甲種(第1類〜第5類、特類):消防設備の整備・点検に加え、設置・改修工事も可能。
乙種は受験資格がなく誰でもチャレンジできるため、未経験からのスタートに最適です。一方、甲種は工事まで手掛けられる専門性の高い資格で、受験するには学歴や実務経験などが必要です。
なお、消防設備士は免状を取ったあとも、免状交付後最初の4月1日から2年以内、その後は5年ごとに法定講習を受ける義務があります。有資格者の知識が国の制度で更新され続けることが、この資格の需要が途切れない理由の一つです。

消防設備士の難易度・合格率
消防設備士試験の合格率の推移
ここからは、消防設備士試験の難易度を、直近のデータから見ていきましょう。
<甲種>

<乙種>

令和7年度は甲種48,958人、乙種51,240人、あわせて約10万人が受験しました。合格率は甲種32.5%、乙種38.3%です。令和6年度は甲種30.1%、乙種37.7%で、ここ数年は甲種が30%強、乙種が38%前後で動いています。工事も担う甲種の方が難易度は高くなっています。
特に甲種は、筆記試験に加えて実技試験で「製図」が出題されるため、より専門的な対策が必要です。一方、乙種は甲種に比べて出題範囲が限定的なため、比較的対策しやすいと言えるでしょう。
なお、令和8年度は4〜6月分の速報値が公表されており、甲種39.5%、乙種40.4%と前年度より高めに出ています。受験者の多い乙種第6類は36.9%、甲種第4類は39.0%です。ただし、年度の途中の数字は母数の少ない類ほど動くため、この記事のランキングは年度の確定値で作っています。
【種類別】合格率から見る難易度の傾向
種類ごとに見ると、傾向がはっきりします。合格率が低いのは甲種第1類(令和7年度28.7%、令和6年度24.1%)や乙種第3類(26.8%)など、1〜3類に集中しています。1〜3類が扱うのはスプリンクラーや泡消火設備、不活性ガス消火設備といった大型の設備で、配管や水理、電気など周辺の知識まで問われ、甲種では製図も複雑になります。
一方、消火器を扱う乙種第6類は35%前後、自動火災報知設備を扱う甲種第4類は34.5%と中位です。設備が身近でイメージしやすく、教材も豊富なため、対策の立てやすさでは4〜7類が有利です。漏電火災警報器に特化した乙種第7類だけは範囲が狭く、64.7%と別格の高さになっています。
<甲種>

<乙種>

合格率をそのまま難易度と読んではいけない3つの理由
合格率は難易度の目安になりますが、そのまま読むと判断を誤ります。理由は3つあります。
1つ目は、母集団の違いです。甲種には受験資格があり、すでに設備の仕事に就いている人や有資格者が受けて32.5%です。誰でも受けられる乙種の38.3%と同じ物差しでは比べられず、甲種の実質的な難しさは数字の差以上にあります。
2つ目は、母数が少ない類は年度の途中で大きくぶれることです。令和7年4〜6月の速報値では甲種特類が45.0%、乙種第3類が20.0%でしたが、年度の確定値は31.9%と26.8%でした。ネット上の「2025年度の合格率」には速報値のまま載っているものがあるので、年度の確定値で確認してください。
3つ目は、乙種第7類の64.7%の読み方です。第7類は電気工事士などの資格で科目免除を受けて受験する人が多く、試験が易しいというより、電気の知識がある人が受けているから高く出ている面があります。
なぜ消防設備士の難易度は高いのか?
国家資格の中で合格率30〜40%は決して極端に低い数字ではありませんが、対策なしで挑むと確実に不合格になります。多くの受験者がつまずく「壁」は以下の2点です。
文系にはハードルが高い「基礎的知識」
筆記試験の「基礎的知識」では、機械や電気の基礎(曲げモーメントなどの計算問題)が出題されます。理系であれば難易度は高くありませんが、文系出身者にとっては専門用語や計算が最初の壁になります。さらに、この科目にも後述する「各科目40%以上」の足切りがあるため、苦手だからといって捨てることができません。
最大の難関「実技試験(鑑別・製図)」
甲種・乙種ともにある「鑑別」と、甲種のみにある「製図」が大きな壁です。実技といっても実際に機器を触るわけではありませんが、記述式で解答するため、選択問題のように「なんとなく」では正解できません。
実技試験は、以下の方法で対策することができます。
・鑑別問題:写真や図解が多く掲載されている問題集を選び、機器の形や名称を視覚的に覚えることが重要です。
・製図問題(甲種):参考書を眺めるだけでは解けません。機器の設置基準を完璧に暗記した上で、模範解答を何度も書き写し、「手を動かして体で覚える」といったような対策が合格への最短ルートです。
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受験資格と試験概要は?

消防設備士の資格に挑戦する前に、誰が受験できて、どのような試験なのかを把握しておきましょう。
受験資格
乙種は、学歴、実務経験、年齢などの制限は一切なく、誰でも受験できます。未経験から建設・設備業界への一歩を踏み出す方に最適な入り口です。
甲種は、乙種と異なり専門性が高いため、以下のいずれかの受験資格を満たす必要があります。ここでは代表的なものをいくつかご紹介します。
※下記は一例です。詳細は必ず消防試験研究センターの公式サイトでご確認ください。
①学歴
大学、短期大学、高等専門学校(高専)などで、機械・電気・工業化学・土木・建築に関する学科や課程を修めて卒業した方。
②資格
第二種電気工事士、一級・二級建築士、技術士など、関連する国家資格を保有している方。
③実務経験
・乙種の消防設備士免状を取得後、2年以上の実務経験を積んだ方。
・消防設備の工事や整備に関する補助者として、5年以上の実務経験がある方。
試験概要
試験は「筆記試験(マークシート方式)」と「実技試験(記述式)」の両方を受験します。
筆記試験は、「消防関係法令」「基礎的知識(機械・電気など)」「消防用設備等の構造・機能」の3分野から出題されます。実技試験では、写真やイラストを見て設備の名称や使い方を答える「鑑別等」が出題されます。甲種の場合は、これに加えて配線図や系統図を作成する「製図」も課されます。合格基準は次の章で詳しく解説します。
試験は各都道府県で年に複数回実施されます。日程の詳細は、お住まいの地域の消防試験研究センターのWebサイトで確認できます。申し込みは、インターネットによる電子申請か、願書を郵送する書面申請で行います。
他資格による「科目免除」
電気工事士や電気主任技術者などの国家資格を持っていると、消防設備士試験の「基礎的知識」や「構造・機能」のうち電気に関する部分が免除されます。試験範囲が狭まるため学習の負担が減り、難易度を下げることができます。ただし、免除を受けると試験時間が短縮され、残りの問題の配点比重が大きくなります。免除を受けるべきかどうかの判断は、次の章で説明します。
合格ラインから逆算する、消防設備士の勉強の組み立て方
消防設備士に落ちる人の多くは、知識が足りないというより、合格基準の仕組みを知らずに勉強の配分を誤っています。合格基準から逆算して、科目ごとの目標点を先に決めるのが、遠回りに見えて最短の勉強法です。
合格基準は「全体60%」と「各科目40%」の二段構え
合格するには、筆記試験で各科目40%以上かつ全体で60%以上、実技試験で60%以上の正答率が必要です。ポイントは、筆記が「全体60%」と「各科目40%」の二段構えになっていることです。全体で60%を超えていても、1科目でも40%を下回れば不合格になります。つまり、捨て科目を作ることができません。
この仕組みを前提にすると、目標点は科目ごとに置くのが合理的です。たとえば、暗記で得点しやすい消防関係法令は80%を狙って貯金を作り、計算が絡む基礎的知識は足切りを割らない50%、構造・機能は60%を目標にする、という配分です。得意科目で稼ぎ、苦手科目は足切りを守ると決めておくと、勉強時間の使い方がはっきりします。
実技は記述式で、あいまいな答えでは点になりません。鑑別は機器の名称と用途を確実に答えられるようにし、甲種の製図は模範解答を書き写して手順ごと覚えます。
免除を使うか使わないかは「得意科目を残す」で決める
科目免除を受けるかどうかも、この逆算で決まります。免除を受けると出題数が減り、残った問題1問あたりの重みが上がります。免除の対象は電気に関する部分なので、免除後は法令と機械分野の比重が高まります。
電気工事士の資格があって電気が得意なら、あえて免除を受けずに電気の問題を得点源にし、全体の正答率を引き上げる方が有利です。逆に、法令の暗記が苦手な人が免除を受けると、苦手な科目の比重が上がって逆効果になります。免除は「試験を楽にする制度」ではなく「得意科目を残す制度」と考えて、自分の得点源がどこにあるかで判断してください。
勉強時間の目安
勉強時間の目安は、資格学校や求人サイトが公表しているものを並べると、乙種で50〜100時間、甲種で100〜200時間程度です。1日1〜2時間なら、乙種は試験の2か月前、甲種は3か月前から始める計算になります。甲種で製図が初めての場合は、さらに半月ほど見ておくと安心です。初学者の方や、1〜3類のように範囲の広い類を受ける場合は、1日2〜3時間の学習で2〜3か月を目安にしてください。
これらは公的な統計ではなく各社の経験則です。本格的に始める前にテキストと過去問を一周して自分の現在地を確かめ、そのうえで科目ごとの配分を決めるのが確実です。
【目的別】消防設備士資格、取るべきおすすめの順番は?

未経験から業界を目指すなら
最初に取得すべきは、ほぼ全ての建物に設置されている消火器を扱える「乙種第6類」です。受験資格がなく、最も汎用性が高いため、実務経験を積む第一歩として最適です。
次に、火災報知器を扱える「乙種第4類」を取得すると、点検できる設備の幅が大きく広がります。この2つがあれば、多くの現場で活躍できるでしょう。
乙6・乙4は「ビルメン4点セット」の構成要素でもあり、ビルメンテナンス業界を目指す方の入口資格として特に重宝されます。
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キャリアアップを目指すなら
すでに実務経験があり、受験資格を満たしている方は、甲種を目指しましょう。
乙種と同様に需要が高い「甲種第4類(火災報知器)」は、キャリアアップの軸となる資格です。ここから、難易度が高く、価値も高い「甲種第1類(スプリンクラー等)」に挑戦するのが王道のステップアップと言えます。
実際に当サイト「キャリコンジョブ」の求人でも、「甲種1類保持者歓迎・月給50万円も可能」「首都圏の多様な現場で技術を活かす」といった、より大規模な施設(空港や公共施設など)の現場を任される高待遇求人が目立ちます。需要の広い「甲種4類」で土台を固め、最難関である「甲種1類」で一気に市場価値を高めるのが、最も効率よく年収を上げる王道ルートです。
受験資格がなくても甲種に挑戦したい場合
「実務経験はないけど、最初から甲種に挑戦したい」という方には、先に「第二種電気工事士」の資格を取得するというルートがおすすめです。
第二種電気工事士は受験資格がなく、消防設備とも関連性の高い資格です。この資格を取得すると、消防設備士の甲種の受験資格が手に入ります。遠回りに見えて、電気と消防の両方に強い人材になれる、非常に有効な戦略です。
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【独自調査】難易度が高い資格はいくら稼げる?求人データに見る「年収・手当」のリアル
「合格率30%」や「実技試験の難しさ」を聞くと、尻込みしてしまうかもしれません。しかし、当サイト「キャリコンジョブ」に掲載されている求人データを見ると、その難しさを超えるだけの価値が十分にあるとわかります。
未経験でも「月給24万〜30万円スタート」「未経験から年収400万円以上」といった求人が多数存在します。資格を取得し経験を積むことで、「月給30万円〜50万円」「31歳で年収500万円」「賞与最大7ヶ月分」といった高水準の待遇を提示する企業も珍しくありません。
資格1つにつき「月額1万円」の手当も
甲種・乙種を問わず、資格を1種類取得するごとに月額10,000円の資格手当が支給される企業が存在します。例えば「乙6」と「甲4」を複数取得すれば、手当だけで年間数十万円の収入アップも現実的です。
一方で、求人データの中には「資格手当なし」と明記されている企業や、金額が不透明な企業も存在します。
消防設備士は法律で守られた「なくならない仕事」です。しかし、取得した努力が給与に直結するかどうかは企業選びにかかっています。難しいからこそ、しっかりと手当として還元してくれる企業を建設業界特化型求人サイトで見極めましょう。
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まとめ

消防設備士は、法律で定められた独占業務を持つ、安定性と将来性に優れた国家資格です。資格保有者は就職や転職で有利になるだけでなく、資格手当による収入アップも見込めます。
本記事のポイントを振り返りましょう。
・資格の概要:整備・点検のみの乙種と、工事まで可能な甲種がある。
・難易度と合格率:令和7年度は甲種32.5%、乙種38.3%。突出して簡単なのは乙種第7類だけで、残りの12種類は27〜41%の帯に収まる。
・合格ライン:筆記は全体60%と各科目40%の二段構え。捨て科目を作らず、科目ごとに目標点を置く。
・価値の高い類:特に甲種第1類、甲種第4類は需要が高く、キャリアの柱となる。
・おすすめの順番:未経験なら「乙種6類」から。ステップアップには「甲種4類」が中心。実務経験がない場合は「第二種電気工事士」からの挑戦も有効。
まずは自分のキャリアプランを考え、どの類から挑戦するか検討してみてはいかがでしょうか。この記事が、あなたの資格取得への第一歩となれば幸いです。
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