「電気工事士って、専門的で難しそう…」
「体力的にきついって聞くけど、自分に務まるだろうか?」
私たちの生活に欠かせない「電気」を扱う専門職、電気工事士。将来性があり、手に職をつけられるイメージの一方で、こうした疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
本記事では、「電気工事士に向いてる人」の特徴を整理し、仕事のリアルな面、将来性、そして自分に合う職場を見つける方法を解説します。
電気工事士に向いてる人の5つの特徴

まず、電気工事士に向いてる人の特徴を5つご紹介します。すべてに当てはまる必要はありません。「これは自分に近いかも」と感じるものがあるか、チェックしてみてください。
粘り強さがある
電気工事の現場では、図面通りに進めても思わぬ問題が起きることがあります。複雑な配線がうまくつながらない、機器が作動しないなど、原因の特定に時間がかかる場面も少なくありません。焦らず、一つずつ確認しながら解決策を探る粘り強さが求められます。
また、屋外での作業や高所作業など、体力的にも厳しい状況が続くことがあります。暑さや寒さに左右されず、最後までやり遂げようとする気持ちが、確かな技術と信頼を築く土台になります。
責任感が強い
電気工事士の仕事は、人々の生活や命に直結します。そのため、人一倍強い「責任感」が求められます。電気は非常に便利ですが、一歩間違えれば感電、漏電、そして火災といった重大な事故を引き起こす危険なものでもあります。また、高所作業では常に転落のリスクが伴います。
「これくらい大丈夫だろう」というほんのわずかな油断やミスが、取り返しのつかない事態を招く可能性があるのです。
そのため、常に「危険かもしれない」と予測しながら行動できる高い安全意識、定められたルールや手順を絶対に守る真面目さ、そして図面通りに配線を一本一本、正確かつ丁寧に接続できる几帳面さが極めて重要です。「自分の仕事が、その建物を使う人全ての安全を守っている」という強い責任感を持てる人は、電気工事士の適性があると言えます。
向上心がある
電気設備の技術は常に進化しています。スマート住宅やIoT機器、太陽光発電、蓄電池、EV充電設備など、新しい分野が次々と登場しており、従来の知識だけでは対応しきれません。変化に合わせて学び続け、自分の技術を高めていく姿勢が求められます。
最初に取得する「第二種電気工事士」から、次第に「第一種電気工事士」「電気工事施工管理技士」「電気主任技術者」など、資格取得に向けて努力を重ねることはもちろん、現場でわからないことをそのままにせず、仕組みや理由を理解しようとする姿勢が大切です。学び続ける意欲を持てる人ほど、経験を重ねるほどに成長し、技術者としての幅を広げていくことができます。
協調性がある
電気工事は一人で完結する仕事ではありません。建築・設備・空調・内装など、さまざまな職種の人と連携しながら現場を進めます。工程の調整や安全確認など、他職との連携が円滑であることが工事全体の品質につながります。 また、現場だけでなく社内でも、上司や後輩、協力会社とのやり取りが日常的に発生します。状況を共有し、互いに支え合いながら作業を進めることができる人は、周囲から信頼され、チーム全体を支える存在になります。
細かい作業が苦にならない
電気工事の多くは、細部への注意力が求められる仕事です。ケーブルの被覆を一定の長さで剥く、端子に正確に結線する、器具を水平に取り付けるといった、一見地味な作業の積み重ねが安全性と仕上がりを左右します。 手先が器用で細かい作業を苦にせず取り組める人は、この仕事に向いています。
また、配線を丁寧にまとめたり、仕上がりの精度にこだわったりできる人ほど、現場で高く評価されます。何よりも、電気やものづくりそのものに興味を持てることが、長く続けていくうえで大きな支えになります。 もちろん、全部そろっていなければ電気工事士になれないわけではありません。自分に近い強み・弱みを把握しておくと、特性を伸ばしやすくなることでしょう。
電気工事士の仕事のリアルと魅力

電気工事士の仕事には、体力や集中力を要する厳しさと、他の仕事では得難いやりがいの両方があります。表面的な印象だけでなく、現場のリアルな実情を知ったうえで、この仕事に臨むのがおすすめです。
仕事の「厳しさ」
電気工事の現場は、天候や環境に左右されることが多くあります。屋外では夏の高温や冬の冷え込みに耐えながら作業する日もあり、屋内でも狭い天井裏や床下での配線作業が続くことがあります。高所や脚立のうえでの作業、重量のあるケーブルや資材の運搬など、体力面での負担も小さくありません。
また、繁忙期や工期の終盤には、スケジュールを守るために残業や休日出勤が発生する場合もあります。特に、商業施設や公共施設の工事では、利用者への影響を避けるため夜間作業が行われることもあります。 見習いの時期は、現場の流れを覚えながら先輩の補助をすることが中心です。覚えることが多く、最初のうちは給料よりも学びの時間が長く感じるかもしれません。
実際、厚生労働省「令和5年 賃金構造基本統計調査」によると、20代前半の電気工事従事者の平均年収は約290万円となっています。しかし資格取得や実務経験の積み重ねによって、確実に収入は上がります。正確に作業をこなせるようになるにつれて評価は上がり、任される範囲も広がっていきます。
それでも選ばれる「大きなやりがいと魅力」
電気工事士という仕事の魅力は、成果が目に見えてわかることです。照明が灯り、機器が正常に動いた瞬間には確かな達成感を味わえる、と多くの人が語ります。自分の仕事が人々の暮らしや社会を支えている実感を得られるのは、この仕事ならではの喜びです。
また、電気工事士は「電気工事士法」に基づく国家資格であり、「業務独占資格」に該当します。これは、無資格者が電気工事を行うことを法律で禁じているものであり、資格を持つ技術者だけが携われる専門性の高い仕事です。住宅、学校、病院、工場、通信施設など、あらゆる場所に関わることができ、地域の安心と安全を支える一員として働けます。
電気工事士の将来性とキャリアパスは?

電気を扱う仕事は、社会的なニーズが絶えることのない分野です。エネルギーの多様化やデジタル化が進む今、電気工事士の役割はむしろ広がっています。
なくならない仕事としての「高い需要と将来性」
電気は生活や社会を支える大切なインフラです。照明やコンセントだけでなく、通信、空調、防災、再生可能エネルギーなど、あらゆる設備が電気によって成り立っています。今後は、太陽光発電や蓄電池、EV充電設備などの普及に伴い、住宅や企業の電力システムを整備する仕事が一層増えていくでしょう。
また、全国で老朽化した建物やインフラ設備の改修が進められています。新築工事だけでなく、既存設備の更新やメンテナンスの分野でも電気工事士の需要は高まっています。自動化やAIが進んでも、最終的な施工・確認・保守は人の手で行う必要があり、機械に置き換えられにくい仕事といえます。
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経験と資格で広がる「キャリアパス」
電気工事士のキャリアは、資格と経験の積み重ねで確実に広がっていきます。まずは一般住宅などの小規模の工事ができる「第二種電気工事士」を取得し、経験を重ねて「第一種電気工事士」へとステップアップするのが一般的な流れです。 第一種を取得すれば、工場やビルなど大規模施設の電気設備工事にも携われるようになります。
さらに上位の資格として、「電気工事施工管理技士」や「電気主任技術者」などを取得すれば、設計や監理、メンテナンスの分野でも活躍できます。 技術と資格を磨けば、将来的には独立して自分の会社を持つ道も開けます。現場経験を積んだ電気工事士は、ビルメンテナンスや設備管理、プラント電気設備など関連業種への転職にも強く、安定したキャリアを築きやすい職種です。
資格については、こちらをご覧ください。
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自分の適性に合った職場を探す方法

自分の性格に合った職場を見つけることは、長く働くうえで欠かせません。実は、「電気工事士」と一口に言っても、会社によって働き方や得意分野、職場の雰囲気は全く異なります。未経験からスタートする場合、最初の「会社選び」は非常に重要です。
ミスマッチを防ぎ、長く活躍できる職場を見つけるための「3つのチェックポイント」を紹介します。
「事業内容や施工事例」から働き方を想像する
まずチェックしたいのは、その会社がどのような分野を得意としているかです。住宅を中心に手がける会社では、屋内での配線作業やリフォーム対応が多く、施主とのやり取りも発生します。商業施設やオフィス、工場などの工事を請け負う会社では規模が大きく、他職との調整が重要になります。再生可能エネルギーやEV設備を扱う企業なら、新しい技術に触れる機会も豊富です。
会社の施工実績を見れば、現場の規模や働く環境がある程度わかります。自分がどんな現場で経験を積みたいかを想像しながら選ぶとよいでしょう。
「代表挨拶や社員の声」を確認する
企業のホームページにある代表のメッセージや社員インタビューには、その会社の方針や雰囲気が表れます。安全を最優先にしている、若手や未経験者の育成を重視している、資格取得を支援している、といった点を読み取ることで、自分が成長できる環境かどうかを判断できます。現場で働く社員の言葉が具体的であるほど、実際の働き方に近い情報が得られます。
「福利厚生」の手厚さを見る
長く働き続けるには、待遇や制度の整備も重要です。資格手当や受験費用の補助、講習会への参加支援などの制度があるかを確認しましょう。また、休日や残業時間、健康診断、安全装備など、働く人を守る仕組みがあるかどうかも大切な判断材料です。設備や工具への投資を惜しまない会社ほど、社員の安全を重視している傾向があるといえます。
まとめ

今回は、「電気工事士に向いてる人」の特徴から、仕事のリアルな実態、将来性、そして自分に合った職場の探し方までを詳しく解説しました。電気工事士は、確かに体力的な厳しさや、常に新しいことを学び続ける努力が求められる仕事です。
しかし、それ以上に「自分の仕事で街に明かりを灯す」という大きなやりがいと、「業務独占資格」という揺るぎない専門性、そして社会から必要とされ続ける高い将来性があります。
未経験であることは、決してハンデではありません。むしろ、これから全てを吸収できる大きな「伸びしろ」です。大切なのは「やってみたい」という、その熱い気持ちだけです。
ぜひ、その素晴らしい一歩を踏み出してみませんか?
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電気工事士として活躍するには、記事で紹介したように「自分に合った職場」を選ぶことが重要です 。
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