鳶職は高所での作業が多く、万が一墜落した場合には命に関わる危険性があります。そのため、ほとんどの現場では、安全靴や安全帯を使用した作業を義務付けられています。
適切な安全靴を使用することで、作業効率が向上し、安全性の確保も可能です。しかし、鳶職に適した安全靴の選び方や機能性を把握できていない方も多いのではないでしょうか。
本記事では、鳶職に適した安全靴を選ぶ際のポイントやおすすめの安全靴を解説していきます。
鳶職とは?

鳶職とは、建設現場で高所作業を専門に行っている職業の総称です。具体的には、足場の設置や鉄骨の設置などが行われます。
また、鳶職は大工の作業が円滑に進むように、環境整備や業務補助を行うこともあります。建築・土木などにおいて分野を問わず欠かせない業種ですが、危険を伴う作業が多いため、高い技術力と体力が求められるでしょう。
重量のあるものは、クレーンや大型機械を使用し、AIも導入されるようになったものの、人の手が必要な工事はいまだに多いです。とくに、建築工事・橋梁工事では、高度な専門知識と技術を求められるため、鳶職はニーズの高い職業だといえます。安全靴に関しても、滑りにくさやケガ防止などの機能を持った安全靴を使用することが重要になります。
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鳶職にもさまざまな種類がある

現在の建設業は、技術や資材の研究・開発、データ連携による施行の効率化などによって、建築物の作り方も昔と大きく変わりました。そのような環境のなかで、鳶職にもさまざまな種類が存在することを知っておきましょう。
足場鳶
足場鳶は、建設現場で足場を組み立てる職人です。鉄パイプや足場板などを運び、スケジュールに合わせて足場を組みます。また、足場の部分解体や工事完了後の足場解体も足場鳶が行います。
実際に、システム建築の足場鳶の仕事を見た所感は、安全帯を使用しつつも非常にスピーディーな組み立てを行っていました。作業の慣れも大切であるものの、受け取ってからすぐに組み立てる知識やスキル、受け取っても落とさない体力が必要です。高所で動き回る作業になるため、安全靴は足の滑りにくさ、滑落防止に優れたものが求められます。
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鉄骨鳶
鉄骨鳶は、高層ビルや大規模な建設現場で、鉄筋・鉄骨を組み立て、骨組みを作ります。建材を落下させないことを意識しつつ、火傷や接触によるケガにつながるため、周囲に注意を払って作業を行わなければなりません。
高層ビルやマンションの建築工事において、活躍する業種です。たとえば、鉄骨の取り付けには玉掛け作業なども必要となるため、スキルと体力が要求されます。
とくに、鉄骨を取り付ける場合は、溶接のスキルも必要となるため、集中力が必要といえるでしょう。鉄骨鳶の安全靴に関しては、滑りにくさに加え、足をケガから守る役割が求められます。流血が発生するケガであれば、現場が止まる可能性があるため、足をケガから守ることが重要です。
重量鳶
重量鳶は、大型の機械や設備を専門に取り扱います。場合によっては、数トン単位の重さの設備を扱うことがあるものの、高所作業を行う機会は少ない点も特徴の1つです。建築に関する知識に加え、給排水や電気など建築設備に関する専門知識が求められます。
鳶職の中でも機械を扱うため、専門的なスキルと知識が必要となります。たとえば、発電機やクレーンなどといった、現場に据え付けなければならない設備は全て重量鳶が行います。そのため、安全靴に関しては耐油性や対滑性が求められます。
また、実際に作業者の方と話した時には、「高所作業の有無を最初気にしていたけど、大事なのは計算・読み取れる力。だから、体力も必要だけど、想像力の方が大事だね」という言葉も聞きました。そのため、重量鳶は鳶職の中でも専門性が求められるといえるでしょう。
橋梁鳶
橋梁鳶は、土木現場で活躍します。鉄骨を組み、橋梁や高架橋などを構築することが主な業務内容です。鉄骨鳶のように接続・調整が必要になることに加え、それぞれの部材の接合には、更に高いスキルが求められます。
たとえば、コンクリートや鉄骨を扱ったうえでズレを生じた場合は、橋梁の耐久性に問題が生じてしまいます。また、他の鳶職は縦方向に伸びるように組み立てていくものの、橋梁鳶は横方向に組み立てを行うため、慎重な判断も必要となります。
鋼橋仮設等作業主任者やコンクリート橋仮設等作業主任者といった専門資格が必須です。また、足場・橋桁の架設まで仕事内容の幅が広い点も特徴です。人のいない山間部に入ることも多くあります。判断の誤りで命を失うケースも多いため、安全靴には特に耐滑性・耐久性が求められるといえるでしょう。
送電鳶
送電鳶は、高所で作業を行う電気工事士を意味する言葉です。正式名称は、送電線架線工でラインマンとも呼ばれます。主な仕事は、架線工事や送電線の保守点検です。鉄塔に上り送電線の敷設や保守業務を行うため、作業時には精神力と技術力が必要といえるでしょう。
基本的には、足場をつくらずに高所で作業を行います。危険度の高さに加え、実務経験と資格取得が必須となるため、国内では4,000人程度と労働人口が少ない点も特徴です。
また、安全靴を選ぶ場合は、耐滑性や山の中を歩くことも予想されるため、足が傷つきにくいブーツ型が適しています。
鳶職に適した安全靴を選ぶ際のポイント

鳶職人は、高所での作業を行うケースが多いため、安全靴は作業に適したものを選ぶ必要があります。仮に、適切な靴を選ばなければ、ケガや墜落につながってしまうためです。また、建設業における死亡事故は、高所からの墜落・転落が約4割となっていることから、すこしでも安全性を高めなければなりません。
ここでは、安全靴を選ぶ際のポイントについて、解説していきます。
鳶職には高所用安全靴が適している
鳶職の場合は、滑りにくさや軽量性を重視した高所用安全靴を選びましょう。通常の安全靴と比較して、金属や木材の上でも作業がしやすい仕様となっています。
また、基本的に溶接の火花から足を守るため、通常の安全靴よりも生地が厚いものが多くなっています。短靴よりもハイカットの安全靴が多い点も特徴といえるでしょう。購入時のポイントとして、高所作業のリーダーからは、「脱げない・滑らない・破れないを意識して、購入するように指導している」という言葉も聞きました。
サイズ
適切なサイズを選べば、足に適度な余裕ができるため、つま先やかかとが窮屈に感じにくくなります。しかし、足先が狭すぎた場合には、圧迫感が生まれ、作業時の不快感や足の疲れにつながるでしょう。対して、大きすぎる場合には、安定性が失われるため、滑りやすくなってしまいます。
履く人の感覚にもよるものの、高所作業がある場合は共通してフィット感が重要です。いくら安全帯やネットを使用していても、フィット感が高くなければ踏ん張りが効かず、滑落のリスクが高くなります。
また、高所作業では墜落や転落は命を失うことになるケースも多いため、どれだけ作業中の動きに対応できるかも重視するべきポイントになります。
形状
高所用安全靴の形状には、短靴・長編上靴・半長靴の3つがあります。まず、短靴はくるぶし下付近までを覆う形であるため、着脱が簡単です。しかし、くるぶしからスネまでを保護する場合は脚絆も併せて使用する必要があります。
次に、長編上靴はスネあたりまで覆われており、保護性能が高い点が特徴です。デメリットは、着脱に手間がかかる点です。
半長靴は安全性が高く、着脱も容易に行えます。ただし、履き口付近に隙間ができやすく、靴の内部が蒸れやすいというデメリットがあります。
高所作業で溶接まで行う場合は、ひざ下まで保護できるハイカットを選ぶケースが多くなっています。理由としては、溶接の火花が足元に飛ぶ可能性が高く、保護範囲が広いためです。ただ溶接を行わない場合でも、高所作業において短靴の安全靴を履いている鳶職はほとんど見かけません。
留め具
高所用安全靴の留め具には編み上げ式、サイドファスナー式、マジックテープ式があります。
編み上げ式は紐で固定する方法であるため、靴がズレにくく、疲れにくい点が特徴です。足を強固に固定できるものの、着脱しにくいタイプといえます。
サイドファスナー式は、靴の側面に線ファスナーがあり、スライダーの上下だけで簡単に開閉が可能です。しかし、サイドファスナーだけでは足の固定が不十分です。そのため、履き口を閉めるための紐やマジックテープが必要になります。
マジックテープ式は、片手でつけ外しが行えることに加え、サイズ調整も簡単に行えます。ただし、留め具がひとつだけの場合は固定が不十分です。そのため、2箇所以上使用している製品を選ぶようにしましょう。
靴底
高所用安全靴に使用されている靴底の素材には、天然ゴム・合成ゴム・発泡ポリウレタンの3種類があります。天然ゴムは弾性・耐滑性に優れているものの、熱・油に弱いといえます。合成ゴムは、天然ゴムに耐熱・耐油といった性能を付加している点が特徴です。
発泡ポリウレタンは、弾性に優れた軽い素材です。尖ったものを踏むと破れやすいため、多層底にして使用されています。
靴底の特徴をふまえて、作業に合わせて選ぶことが大切です。たとえば、天然ゴムは滑りにくいものの、高所作業での夏場は、焼けてしまう可能性があります。そのため、夏場は合成ゴムを選ぶといった使い分けも大切です。経年劣化もあるため、劣化具合をチェックしつつ、作業内容に合わせて履き替えましょう。
耐久性
鳶職が使用する安全靴では、耐久性も1つのポイントです。素材や補強部位、縫製などをチェックすれば、耐久性のある安全靴を選びやすくなります。
また、作業現場に鋭利なものがある、破損のリスクがある環境では、靴の保護機能を重視しましょう。耐久性がある靴は長期間にわたって使用できるため、購入のコスト削減や作業中の中断時間を抑えることにもつながります。
鳶職におすすめの安全靴10選

鳶職に適した安全靴を販売しているメーカーはいくつもあるため、さまざまな製品が販売されています。ここでは、鳶職におすすめな安全靴を10個ピックアップしていきます。
現場環境や作業内容に適したものを選びましょう。
ミドリ安全 作業靴 高所作業用 CT515
柔らかく足あたりが良い安全靴です。履いてからすぐに足に馴染むため、痛くなりにくい点が評価されています。履き口の裏に裾止めテープがついているため、ズボンの裾を中まで入れて留められます。
つま先も十分に保護されており、数カ月単位で靴を買えるようなハードな現場で作業される人に適した靴です。引っ掛け防止に優れており、鉄骨・足場作業で特に役立ちます。重機を使用せず、動き回るような現場や溶接以外の作業を行う場合は十分に使用できるでしょう。
ノサックス 安全靴 溶接作業用 鍛冶鳶
JIS規格合格品で鋼製先芯が使用されている安全靴です。滑りにくいソールパターンも採用されていることから、対滑性にも優れています。
甲革前面に耐熱床革が使用されているため、ガス溶断時の火玉からの足の保護が可能です。また、着脱が容易に行えることに加え、3箇所のマジックテープで足を十分に固定できます。
溶接専用の安全靴で、耐久性・耐火性に優れています。また、溶接に使用できる点から、ほとんどの鳶職の仕事で使用できるほど汎用性が高いといえるでしょう。
ミドリ安全 高所作業向け 長編上靴 VS5311NF
JIS規格のS種に合格している靴です。サイドファスナーを甲革である程度隠すことが可能です。
ファスナートップを留められるため、スライダーが表に出て壊れるリスクがありません。履き口裏に裾止めテープがついており、肌荒れを起こす可能性があるため、ズボンの裾を入れて使用することをおすすめします。
スニーカーと同様の履き心地で使用できます。溶接を行わない場合でも使いやすく、とくに高所作業における留め具の調整や橋梁工事などで活用できるでしょう。
椿モデル × エンゼル 高所用安全靴 CHS58
JIS規格の認定商品です。つま先部分のガードと剥離防止仕様が施されており、耐油性・耐薬品性・耐摩耗性に優れた合成ゴム底が使用されています。火の粉やホコリが入らない袋マチタイプです。また、ズボンのズレあがりを上がりを防ぐために、履き口滑り止め仕様となっています。
高級感があるため、デザインにこだわりたい場合におすすめです。溶接に加え、鳶職人が行う作業であればほぼ対応可能です。
フジテブクロ 高所用長靴 オーバーキャップ 8123
先芯が外についているオーバーキャップ仕様の靴です。そのため、靴先部内面は鉄芯による段差が生じないため、指先が痛くなりにくい構造となっています。立体形状インソールが内蔵されており、履いてる感覚がつかみやすいでしょう。
また、つま先が反り上がる設計であるため、つまずきにくい仕様となっています。滑りにくい耐滑ラバーソールもあるため、滑りやすい場所での作業も可能です。背面部にリフレクターが装着されているため、暗い場所でも使用しやすいでしょう。
ミドリ安全 屈曲作業向けプロスニーカー TS-115N
屈み作業を快適におこなえるように開発された靴底とアッパーデザインが用いられています。そのため、指1本で簡単に曲げられるほどの優れた屈曲性を備えています。また、つま先立ちや斜面での作業でもつま先が直接先芯に当たりにくいです。
粉やチリなどが付着した屋根上や高所でも滑りにくいソールデザインです。
シモン(Simon) 安全靴 黒床 WS28
JIS規格合格品で耐滑性に優れた安全靴です。クッション性と足へのフィット感を考慮して設計されたクレイドルインソールが搭載されているため、履き心地が良く、安定感のあるフラットソールが使用されています。
引っ掛けが多い、高所作業や溶接作業に役立つ安全靴です。とくに、サイズ感にゆとりがあるため、足のサイズが大きい方にもおすすめできます。摩擦に強いため、ゆとりがあったとしても滑りにくい点から、多くの現場で使用できます。
ノサックス みやじま鳶 マジック
留め具にフィット感を調節しやすいマジックテープを採用した安全靴です。JIS規格のS種に合格しており、着脱が行いやすいブーツタイプです。耐滑性や耐踏み抜き性に優れ、さまざまな現場で活用できます。
つま先には鋼製先芯が使用されていることに加え、踏み抜き対策用の強靭な中敷きが全面に貼りつけられているため、強度にも期待できます。安全性と使い心地を重視する人に適した靴といえるでしょう。
ミドリ安全 PRM230Boa ブラック
つま先を高めに設計されているため、段差で引っ掛かりにくく、つまずきによる転倒事故を予防できます。また、ダンパーソールはエグリ形状であるため、歩行時に変形することで衝撃を吸収し、クッション性を向上させています。
フィット感にこだわった安全靴です。グローブを外さず片手で簡単に調整できるため、作業時でもストレスを感じにくい設計となっています。また、靴底はつまずきや滑り対策が施されているため、滑りにくい安全靴が必須となる鉄骨・足場・送電作業などで役立つでしょう。
ミドリ安全 静電安全靴 プロテクトウズ5 PCF230FN
側面からの衝撃に対して、小指部分を保護できる形状の先芯が用いられています。また、屈曲性も確保されているため、動作性と安全性に優れています。耐滑底が用いられていることから、滑りやすい場所の作業でも活用できるでしょう。
静電気が発生しにくい安全靴です。とくに送電を専門としている鳶職に向いています。長時間使用し続ける場合もコンソールが抗菌・防臭使用であるため、快適に使用可能です。
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まとめ

鳶職は、建設業の中でも高所作業を行うケースが多い職種です。作業内容によって、鉄骨や送電など、必要とされるスキル・知識も大きく異なる点も特徴といえます。そして、鳶職における高所での作業は、安全靴を用いることで機動性や作業効率アップ、安全性の確保につながります。
鳶職に適した安全靴を選ぶ場合は、サイズや形状、留め具などを考慮して選びましょう。それぞれの製品やメーカーの特徴を把握することが大切です。
また、作業内容や使用する現場環境に適しているかもポイントの1つです。今回紹介した安全靴の購入も検討しつつ、現場で使いやすく、動きやすいものを選びましょう。
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自分にぴったりの安全靴で身を固めることはもちろん大切ですが、それ以上に「安全管理が徹底された、働きやすい現場(会社)を選ぶこと」が鳶職として長く活躍するための秘訣です。
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