「ブルーカラービリオネア(Blue-Collar Billionaires)」という言葉をご存じでしょうか。
今、アメリカを中心に世界では、AIに代替されにくい現場の技能職が見直され、高収入を得る人たちが増えています。AIがホワイトカラーの仕事を置き換え始める一方で、現場で手を動かす仕事の価値が上がっているのです。
日本でも「AIに仕事を奪われるのでは」という不安が広がっていますが、その裏側で確かな需要を伸ばしている分野があります。それが建設業をはじめとする現場系の職種です。
この記事では、AI時代になぜブルーカラーの価値が上がり、高収入を得る「ブルーカラービリオネア」が生まれているのか、そして、建設業が未経験から高収入を狙える理由をわかりやすく紹介します。
世界が注目する「ブルーカラービリオネア」とは?

まずは、「ブルーカラービリオネア」とは何を指すのか、アメリカでの現状とともに見ていきましょう。
AI時代に生まれた「価値逆転」の現象
「ブルーカラービリオネア」とは、AI(人工知能)の発展により、弁護士や金融アナリストといった従来のホワイトカラー(知的労働者)の稼ぐ機会が減少する一方で、AIには代替できない高度なスキルを持つブルーカラー(技能労働者)の市場価値が高まり、高収入を得る機会が増えている現象を指します。
具体的には、配管工、電気技師、空調設備技術者など、「現場で手を動かし、問題を解決する」専門家たちです。彼らは現場経験を通じて技術を磨き、社会に欠かせない仕事を担っています。そのスキルはAIがどれだけ進化しても簡単には真似できないものばかり。だからこそ今、彼らの価値が世界的に見直されているのです。
なぜ今、注目されているのか?
背景にはAIの急速な発展があります。プログラミングや文書作成、データ処理など、ホワイトカラーが担ってきた仕事の多くが自動化され、「オフィスワーク=安定・高収入」という構図が揺らぎました。一方で、現場で状況を判断しながら作業する仕事はAIでは代替できず、価値が逆転しつつあります。
米国ではすでに高収入!現実の「ブルーカラービリオネア」
米国労働省労働統計局のデータでも、エレベーターやエスカレーターの設置・修理工といった専門職の年収が高騰していることが示されています。この職種の年収中央値は約10万6580ドルとされ、日本円にして1,500万円クラスの収入を得る技能者も珍しくなくなっています。
AIがホワイトカラーの仕事を奪うのは本当なのか? 労働市場の大変革

「本当にAIがホワイトカラーの仕事を奪うなんて、大げさではないか?」と思うかもしれません。しかし、世界のトップリーダーたちは、すでにこの変化を確実な未来として捉えています。
米国で現実に起きている「ホワイトカラーの危機」
アメリカでは、ITや金融を中心に大手企業がホワイトカラーの人員削減に踏み切っています。Amazon、Meta、Microsoft、Googleなどが相次いで数万人規模でレイオフを実施したことはよく知られています。AIを活用して生産性を高めつつ、組織全体の人員を減らす動きが加速しているためです。
また、大手自動車メーカー・フォードのCEOが「AIがホワイトカラーの半分を置き換えるだろう」と危機感を示したことが、大手メディアでも報じられました。
さらに生成AI「Claude」を開発するAnthropic社のCEO、ダリオ・アモデイ氏は、「AIは今後数年でエントリーレベル(初級職)のホワイトカラーの仕事の半分を一掃する可能性がある」と指摘しました。
調査、資料作成、データ整理といった、かつて新人がOJTで経験を積んでいた業務は、今やAIが最も得意とする領域です。つまり、未経験からオフィスワークでキャリアを積むという道そのものが、急速に狭まりつつあるのです。
弁護士、金融アナリスト、ライター、コンサルタント、プログラマー…。かつて「高学歴エリート」と呼ばれた専門職の仕事が、AIによって効率化され、その価値そのものが問われ始めています。
AIが得意なこと(言語化できる知的作業)
AIは、「言語化できる知識や作業」の自動化が得意です。例えば、プログラミングのコード生成やデバッグ(修正)、膨大なデータから傾向を読み取るデータ分析、情報処理やリサーチ、そして文書作成といった定型的な知的作業が挙げられます。AIは、こうした言語化できる知識や作業を、人間を遥かに超えるスピードと正確性で実行できてしまうのです。
一方で、AIにはまだ代替することができない領域があります。それが、現場で身体を動かし、物理的なモノを作り上げる「建設業」の仕事です。
価値が急騰!「ブルーカラー」がAI時代に最強な理由

では、なぜブルーカラーの仕事はAIに奪われないどころか、価値が上がっているのでしょうか?
AIには「現場」が扱えない
建設や設備工事の現場には、図面だけでは分からない要素が多くあります。狭い室内での配管作業や、既存配線を傷つけない改修、天候で変わる足場の判断など、その場で体を動かしながら進める仕事が中心です。
ロボット技術も進化していますが、段差や障害物が多い建設現場で、人のように状況を読み取りながら安全に動くことはまだ困難です。ベテランが持つ「現場の勘」や「微調整」といった暗黙知(言語化できない知識)は、AIが最も苦手とする領域であり、人間にしかできない高度なスキルなのです。
社会を支える「エッセンシャルワーカー」
電気・水道・ガスなどのライフラインや建物の設備は、止まれば生活そのものが成り立ちません。新しい建物ができれば施工の需要が生まれ、完成後もメンテナンスや更新が続きます。人口減少が進む日本も、老朽化したインフラの更新は避けられず、この分野の仕事が急に減るとは考えにくい状況です。こうした「なくならない仕事」を担っていることが、ブルーカラーの価値がAI時代に高まっている理由のひとつです。
日本も、ブルーカラービリオネア現象は進むのか?

「それはアメリカの話でしょう?日本は違うのでは?」と思うかもしれません。
たしかに、日本ではアメリカほど大規模なリストラは一般的ではありません。しかし、「ホワイトカラーの仕事がAIに置き換わり、ブルーカラー(技能職)が不足している」という根本的な構造は、日本でも全く同じです。
特に日本の建設業界では、深刻な供給不足により、「技術者の価値」は、すでに上がり始めています。
建設業界のリアル:深刻な人手不足と需要拡大
建設業では技能労働者の高齢化と若手不足が深刻です。平均年齢は40代後半に達し、いわゆる「2025年問題(ベテラン技術者の大量引退)」も指摘されています。さらに、過去の建設不況の影響で、現在の中堅層(30代〜40代)が極端に不足している「世代の空白」があります。これは裏を返せば、今から参入する若手にとってはライバルが少なく、早期にリーダーや責任あるポジションを任されやすい「超・売り手市場」であることを意味します。一方で、インフラ更新や公共工事の増加、データセンター建設などの需要は増え続けており、市場自体は成長傾向にあるのです。
データが示す「建設業の賃金が上がっている」という事実
人手不足を背景に、建設業の賃金は上昇傾向にあります。建設業の賃金水準に直結する指標として、国土交通省が定める「公共工事設計労務単価」があります。 この単価の推移を見ると、平成24年(2012年)から13年連続で引き上げられており、令和7年(2025年)には平成24年比で「+85.8%」、つまり約1.86倍にまで上昇しています。
これは、技能労働者の価値が高まり、その賃金が適正に評価され始めている何よりの証拠です。
》参照:国土交通省:令和7年3月から適用する公共工事設計労務単価について
「学歴」より「スキル」の時代へ。高専・工業高校の圧倒的な求人倍率
労働市場での需要も爆発的に高まっており、「大卒」の価値が揺らぐ一方で、専門的なスキルを持つ人材の価値が急騰しています。全国工業高等学校長協会の最新調査(令和7年度)によると、工業高校生の求人倍率は平均で「31.9倍」に達しました。これは、生徒1人に対して約32社の求人がある計算になります。
また、高度な技術教育を行う「高等専門学校(高専)」に至っては、学校や学科により求人倍率が40倍〜50倍に達するケースもあり、技術者の争奪戦は年々激しさを増しています。 「学歴」よりも「確かなスキル」を持つ人材が、圧倒的に求められる時代が日本にも到来しているのです。
》参照:全国工業高等学校長協会|令和7年度調査結果-卒業者等に関わる状況調査
※建設業の年収や将来性についてはこちらをご覧ください。
》建設業の平均年収って実際どう?国の最新統計で業界別・職種別に徹底比較!
》なぜ建設業の若者離れは当たり前?その理由と求職者が知るべき業界の将来性とは
未経験から「ブルーカラービリオネア」を目指す最初のステップ

「でも、未経験の自分には無理だろう…」 そう思うかもしれませんが、建設業は未経験からでも「ブルーカラービリオネア」を本気で目指せる、数少ない業界です。
なぜ建設業は未経験からでも「狙い目」なのか?
前述の通り、建設業は「深刻な人手不足」に直面しています。だからこそ、近年多くの企業が「未経験の若手」をゼロから育て上げ、技術を受け継いでもらうことに全力を注いでいます。
建設業でキャリアをスタートするメリットは計り知れません。 まず、一生モノのスキルが身につきます。一度身につけた技術は、AIに奪われることはありません。それどころか、日本中どこへ行っても通用する「一生モノの財産」となります。
明確なキャリアアップが望めるのも大きな強みです。建設業は「資格とスキル」がモノを言う、非常に公平な世界です。学歴や職歴に関係なく、現場で経験を積み、「電気工事士」や「施工管理技士」などの国家資格を取得すれば、給与も役職も明確に上がっていきます。
また、資格と実務経験を積み重ねていけば、将来的に独立して一人親方や工事会社を立ち上げる道も開けます。まさに、現場発のブルーカラービリオネアを目指せる世界と言ってよいでしょう。
未経験者がまずやるべきこと
とはいえ、「建設業」と聞いても、具体的にどんな仕事があるのかイメージしづらい人も多いでしょう。電気工事、設備工事、土木、解体、内装リフォーム、外構工事など、職種は多岐にわたりますし、必要とされる資質も少しずつ違います。
最初の一歩として大切なのは、「未経験歓迎」「資格取得支援あり」といった条件の求人に実際に目を通してみることです。どんな一日の流れなのか、どのくらいの給与からスタートするのか、入社後にどんな資格を取得する想定になっているのかなど、求人情報には具体的なヒントが詰まっています。
興味を持てる仕事が見つかったら、次は応募して話を聞いてみることです。面接の場では、不安に思っていることを率直に質問して構いません。未経験から育てることを前提にしている会社ほど、教育体制やフォローについて丁寧に説明してくれるはずです。
》現場仕事の種類って何がある?現場のリアルなやりがいや未経験からの始め方を紹介
まとめ

AIの進化によりホワイトカラーの業務が効率化される一方で、現場で技術を発揮するブルーカラーの価値は、日本でも確実に高まっています。
特に建設業では、技能者の高齢化による人手不足という課題がある反面、インフラ更新や災害対策、さらにはAI普及に不可欠なデータセンター建設など、需要は拡大の一途をたどっています。つまり、現場人材の重要性は、かつてないほど高まっているのです。
現場ごとの状況判断や、物理的な技術は、AIには決して代替できない領域です。実務経験を積み、電気工事士や施工管理技士などの国家資格を取得することで、収入もキャリアも、自分の手で確実に切り拓いていけるでしょう。
建設業は、教育体制が整った企業も増えてきており、未経験からでも安心して挑戦できる環境です。「働きながら、一生モノの技術を身につける」。これからは、AIに奪われない「手に職」という資産を築くことこそが、未来への最も確実な投資となります。
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今の働き方に少しでも不安があるなら、まずは「どんな仕事があるのか」を知ることから始めてみてください。求人を眺めていくうちに、「これなら自分にもできそうだ」「こんなキャリアの道があるのか」という、新しい可能性がきっと見つかるはずです。
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