建設現場や解体現場で、巨大なショベルカーやクレーン車を自在に操る「重機オペレーター」。その姿を見て、「どれくらい稼げるんだろう?」と興味を持ったことがある方も多いのではないでしょうか。
特に、未経験から新しいキャリアを考えている方にとっては、資格も経験もない状態からどうやって収入を上げていけるのか、そして、将来性はあるのか、AIに仕事を奪われたりしないのか、といった点が気になるはずです。
この記事では、厚生労働省の最新データを基にした重機オペレーターのリアルな年収事情から、未経験者が収入をアップさせる方法、そして将来性まで、徹底解説します。
重機オペレーターの平均年収は?

まず、最も気になる「年収」について、重機オペレーターの平均年収はどのくらいなのでしょうか。求人を見ると金額に幅があり、実際の相場がわかりにくいと感じる方も多いことでしょう。ここでは公的データを基に、リアルな数字を見ていきましょう。
平均年収は「450~550万円」程度が目安
一口に「重機オペレーター」と言っても、扱う重機によって統計上の分類が異なります。厚生労働省の賃金構造基本統計調査では、主に以下の2つの職種に分類されます。
①建設・さく井機械運転従事者
(掘削機械運転工、ショベルマシン運転工、ブルドーザー運転工、コンクリートミキサー運転工、トラッククレーン運転工 など)
②クレーン・ウインチ運転従事者
(クレーン運転工、ウインチ運転工、デリック操作工 など)
それぞれの近年の平均年収データ(※)を見てみましょう。

(※企業規模10人以上の場合。年収は「きまって支給する現金給与額」×12ヶ月+「年間賞与その他特別給与額」で算出)
これらのデータから分かる通り、重機オペレーターの平均年収は450万円~550万円程度が一つの目安となります。特にクレーン関連は平均年収500万円を超える高い水準となっています。
国税庁の調査による日本の平均給与と比較しても、重機オペレーターの年収は日本の平均と同等、あるいは職種によってはやや高い水準にあると言えるでしょう。
<出典>
・厚生労働省|令和7年賃金構造基本統計調査 業種別主な職種早見表
実態は「400万円以下~700万円超」と幅が広い
ただし、ここで示した平均はあくまで全体の目安です。
実際の年収は、400万円以下から700万円以上まで幅広く分布しています。
実際には、未経験の見習いクラスで年収400万円以下からスタートし、経験とスキルを積んだ熟練のベテランオペレーターになると年収700万円以上を稼ぐ人も少なくありません。
なぜ、これほど大きな幅が生まれるのでしょうか?それは、重機オペレーターが「技術職」であり、個人の能力や環境によって評価が大きく変わるからです。
年齢・経験・役職で着実に昇給を目指せる
重機オペレーターの年収に個人差が生まれる主な要因は、「保有資格」「経験年数」「技術力」「会社規模」「働く地域」など様々です。
重機オペレーターの年収は年齢や経験と共に上昇していく傾向が強いのが特徴で、現場で様々な経験を積み、扱える重機の種類を増やし、難しい作業もこなせるようになれば、その分は「技術力」として高く評価され、給与に反映されます。
また、単なるオペレーターとしてだけでなく、現場のリーダー格である「班長」や「職長」といった管理職へとステップアップすれば、役職手当が加わり、全国平均より高い水準の収入を目指すことが可能です。
未経験からスタートしても、努力次第で着実に年収を上げていける。それが重機オペレーターという仕事の大きな魅力の一つです。
建設業の平均年収についてはこちらをご覧ください。
》建設業の平均年収って実際どう?国の最新統計で業界別・職種別に徹底比較!
重機オペレーターで収入を上げる3つの方法

では、未経験からスタートして高収入を目指すには、具体的に何をすればよいのでしょうか? 重機オペレーターとして収入を上げていくためのポイントを解説します。
「資格」は最強の武器。収入アップの近道になる
年収を上げる最も確実な方法は、やはり資格の取得です。資格は実力を証明するだけでなく、会社からの評価や手当にも直結します。
例えば、多くの現場で基本となるのが「車両系建設機械運転技能講習」です。これは、ショベルカー(油圧ショベル)やブルドーザーなど、建設現場で最もよく使われる重機を操作するために必須の資格です。未経験者を採用している会社の多くは、入社後にこの資格の取得をサポート(費用負担など)してくれます。
さらに収入を上げるためには、スキルアップに繋がる資格を取得することが近道です。特に「移動式クレーン運転士」や「玉掛け技能講習」は需要が高く、市場価値を高めるのに役立ちます。クレーンで荷物を吊り上げる作業は専門性が高く、この2つはセットで求められることが多いため、両方を取得すれば作業範囲が格段に広がり、給与アップに直結します。
加えて、会社によっては資格手当が明確に設定されており、月5,000~20,000円程度が加算されるケースもあります。単価だけでなく、昇給や役職登用の際にも資格を持つ人が優遇されやすく、収入アップの効果が直接的に現れるのが特徴です。
長期的にキャリアを築くなら、「建設機械施工管理技士」などの上位資格を取得することも視野に入れましょう。現場を統括する立場や管理職を目指す道が開け、安定した高収入を得られるようになります。
建設業で取るべき資格については、こちらをご覧ください。
》建設業で取るべき資格とは?取得するメリットとキャリアパスを紹介
「経験」と「技術」で替えの利かない人材になる
重機オペレーターの世界では、勤務年数の長さよりも「どんな経験と技術を積んできたか」が評価されます。単なる「勤務年数」ではなく、状況に応じて最適な判断ができる技術と経験です。
たとえば、バックホウやブルドーザー、クレーンなど複数の重機を自在に操れる多能工は、現場で最も重宝されます。また、図面を読み取りながら効率的かつ安全な作業手順を組み立てられる段取り力や、予期せぬトラブルが起きたときに冷静に対処できる判断力も欠かせません。
これらの能力を磨いていくと、「あの人に任せれば安心だ」と信頼される存在になります。そうした総合的な現場対応力こそが、ベテランとしての最大の価値であり、給与や役職にもしっかり反映されます。
日々の作業を単にこなすのではなく、毎回の現場を自分の経験に変えていく意識が、長期的な収入アップにつながります。
会社選びで差がつく!努力を正当に評価してくれる職場を選ぼう
資格を取得したり経験を積んでも、それを正しく評価し給与に還元してくれる会社でなければ、努力が報われません。重機オペレーターとして長く働くうえで、会社選びは最も重要な要素のひとつです。
まず押さえたいのは、地域による給与水準の違いです。首都圏や大都市圏では再開発や大型工事が多く、案件単価が高い傾向があります。一方、地方は生活コストが低く、手取りベースでの安定感があるのが魅力です。
次に、評価制度と手当の仕組み。資格手当や技術手当の有無、昇給ルールが明確かを確認しましょう。特に「資格取得支援制度」がある会社なら、費用負担なくスキルアップを目指せます。
さらに、特定の分野に特化した高い技術力を持つ専門工事会社ほど、安定した受注と高い利益率を確保しやすく、社員への給与還元にも余裕があります。努力を正当に評価してくれる会社に出会えれば、数年後にはリーダーとして現場を率いる立場も夢ではありません。
「将来性がない」は本当?重機オペレーターの安定性と将来性

未経験から挑戦するにあたり、「この仕事は将来もなくならないだろうか?」という不安もあるかもしれません。 結論から言えば、重機オペレーターは非常に将来性が高く、安定した職業です。
なくならない需要
重機オペレーターの仕事が将来的にも安定している理由は、日本の社会的な課題と密接に関連しています。
まず、日本は地震や台風など、自然災害が非常に多い国です。災害が発生した際の瓦礫の撤去や土砂の掘削、インフラの応急復旧など、復旧・復興作業において重機オペレーターは欠かせません。
次に、インフラの老朽化という大きな課題があります。私たちが日常的に使う道路、橋、トンネル、ダムなどの多くは、高度経済成長期に集中的に作られました。これらが一斉に寿命を迎えつつあり、老朽化したインフラの補修・整備は、今後ますます増加していくため、重機オペレーターの活躍の場は広がり続けます。
さらに、建設業界全体が深刻な人手不足に陥っており、特に技術が求められる重機オペレーターは、熟練者の高齢化も進んでいます。裏を返せば、若手や未経験者への需要は非常に高く、まさに「引く手あまた」の状態です。今から技術を身につければ、将来的に「貴重な人材」として長く活躍できます。
AI・自動化で仕事は奪われない?
建設現場の自動化やロボット化は進んでいますが、実際には完全な代替はまだ困難と言われています。現場ごとに地形や土質、周囲の作業環境が異なり、人の判断と連携が欠かせないからです。重機オペレーターは、刻々と変化する状況を見極めながら安全に作業を進める判断力が問われる専門職でもあるのです。
むしろ、ICT建機(情報通信技術を使ったハイテク重機)など新しい技術を扱えるオペレーターの価値は上昇しています。デジタルに強い若手ほど早く評価される傾向があり、技術を学び続ける姿勢そのものが武器になります。
体力勝負ではなく「手に職」で長く働ける専門職
「建設業=体力的にきつい」というイメージがあるかもしれませんが、重機オペレーターは少し異なります。
炎天下や寒冷期の作業はあるものの、主な作業はキャビン内での操作です。重要なのは体力よりも体調管理と、積み上げた技術です。
そのため年齢制限もなく、体力的な衰えを感じる年齢になっても、第一線で活躍しているベテランオペレーターは少なくありません。
また、近年は厚生労働省による熱中症対策や安全衛生に関する法整備も進み、現場環境の改善が着実に進展しています。重機キャビンの空調設備や休憩スペースの整備など、無理のない働き方が広がりつつあります。
熟練したオペレーターは定年後も技術指導員として活躍でき、長期的に安定したキャリアを築けます。年齢を重ねても経験が価値になるのが、重機オペレーターのメリットです。
重機オペレーターに向いている人の特徴

重機操作は一見シンプルに見えますが、集中力と判断力、そしてチームとの連携力が求められます。適性を知ることで、自分の強みをどのように伸ばせるかが見えてきます。
集中力と判断力
狭い現場や隣接作業がある状況で、長時間の精密操作を安定して続ける集中力が求められます。危険を予測し、瞬時に判断できる力が、自分や仲間の安全を守り、作業の精度と安心感を生み出します。
自己管理能力と安全意識
わずかな操作ミスや不注意が、自分だけでなく周囲の作業員の命に関わる重大な事故に繋がります。「寝不足で出勤する」「二日酔いで現場に出る」などは絶対にあってはなりません。常に万全の体調を維持する高い自己管理能力と、「絶対に事故を起こさない」という強い安全意識が不可欠です。
最低限の体力
重機の操作が中心でも、乗り降りや点検、手元作業の補助など、体を動かす場面はあります。無理をする必要はありませんが、暑さや寒さに対応できる基礎体力が、集中力を保つうえで大切です。
協調性とコミュニケーション
重機だけでは現場は動きません。重機を一人で動かしていても、その周りには必ず合図を送る誘導員や、手元で作業する仲間がいます。無線での的確な報告・連絡・相談や、他職種との連携を円滑に行える人は、チームの中心として評価されます。
まとめ

この記事では、重機オペレーターのリアルな年収事情から、未経験からでも収入を上げていく具体的な方法、そしてその将来性について詳しく解説してきました。
公的データが示す通り、平均年収は日本の平均と同等以上の水準であり、「資格取得」「経験と技術」「会社選び」という3つのポイントを押さえれば、未経験からでも年収700万円以上を目指せる可能性があります。
さらに、インフラ整備や災害復興で需要が途切れない安定性に加え、AIにも代替されにくい「手に職」であるため、景気や年齢に左右されずに長く活躍したいと考えるなら、重機オペレーターは間違いなく有力な選択肢となるでしょう。
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この記事で解説したように、重機オペレーターの年収は「資格」「技術」、そして何より「会社選び」で大きく変わります。
特に未経験から挑戦するなら、「未経験者歓迎」はもちろん、「資格取得支援制度」が整っていて、あなたの頑張りを正当に評価し給与に反映してくれる会社を選ぶことが何よりも重要です。
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