「施工管理技術検定」は、建設業界でキャリアアップを目指す上で欠かせない国家資格です。
2024年(令和6年度)からは受験資格が大幅に緩和され、第一次検定に合格するだけでもキャリアにおいて大きなメリットが生まれるようになったため、今後取得を目指す人がさらに増えると予想されています。
しかし、「具体的に何が変わったのか」「取得するとどんなメリットがあるのか」が今ひとつイメージできない方もいるのではないでしょうか。
本記事では、施工管理技術検定の概要から、令和6年度以降の変更点、資格取得のメリット、そして働きながら最短で合格を勝ち取るための勉強法まで詳しく解説します。これから受験を検討している方はぜひ参考にしてください。
施工管理技術検定とは

施工管理技術検定とは、どのような資格なのか、概要や試験範囲、試験日程について解説します。
施工管理技術検定の概要
施工管理技術検定とは、建設業法第27条に規定された国家資格である「施工管理技士」を取得するために必要な検定試験です。
1級を取得すると、特定建設業の「営業所ごとに置く専任の技術者」および現場に配置する「監理技術者」として認められ、施工管理としてキャリアアップ・年収アップを目指すためには欠かせない資格となっています。
これまで建築施工管理技士の資格は、1級・2級ともに厳格な実務経験が要求され、業界で働いていても受験資格を満たすまでに長い年月が必要でした。しかし、令和6年度の制度改正により要件が緩和され、実務経験がなくても第一次検定を受験し、一部の資格(技士補)を取得することが可能になりました。
試験の範囲
施工管理技術検定の試験範囲は、「建築学等」「施工管理法」「法規」などで、第一次検定はマークシート方式です。建築分野の基礎知識に加え、現場管理に必要な応用能力が要求されます。
第二次検定も第一次検定と範囲は同様です。しかし、回答は記述式となっており、経験記述と呼ばれ、過去の実務経験を記述する問題や、仮設計画や施工管理など、知識を実務に結びつけて使いこなす能力が求められます。また、意味を正しく伝えられる文章力も必要です。
そのため、第二次検定は、知識を勉強して丸暗記するだけでは対応できません。
試験日程
施工管理技術検定の実施スケジュールは、検定種目(土木、建築、電気工事、管工事など)によって異なります。例年、春から初夏にかけて第一次検定が行われ、秋から冬にかけて第二次検定が実施されます。
受験のチャンスは原則として「年に1回」しかありません。(※2級の第一次検定のみ前期・後期の年2回実施される種目もあります)。受講を検討している場合は、必ず国土交通省や実施機関の公式ホームページで最新の試験日程と申込受付期間を確認し、早めに準備を進めましょう。
難易度
施工管理技術検定に合格するためには、原則として「60%以上」の得点が必要です。合格率は年度や種目によって波がありますが、大まかに第一次検定で40〜50%前後、第二次検定で30〜40%前後と言われています。資格試験の合格率としては一般的ですが、国家資格のため、勉強しないで点数が取れるほど簡単な試験ではありません。しかし、勉強時間を確保すれば、数週間の勉強で合格できるともいわれており、個人差があるような印象です。
私の周りの印象でいえば、大学合格できる程度の勉強を経験している人であれば、時間さえ確保できれば問題ないという人が多い印象です。しかし、建築業界で働く人の中には勉強する習慣がない人もおり、そのような人は難しく感じている様子でした。
先輩社員には「体力的に余裕がある若いうちに取得するのが、勉強にも集中できるためよい」と言われたこともあります。
なお、受験する種目によって管轄する実施機関が異なるため注意が必要です。
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令和6年度以降の変更点(何が変わった?)

令和6年度(2024年度)から、施工管理技術検定の仕組みが大きくアップデートされました。求職者や若手技術者にとって有利な変更が多いため、しっかり押さえておきましょう。
受験資格が「年齢制限のみ」に緩和された
最も大きな変更点は、第一次検定の受験資格が「年齢のみ」になったことです。
1級は19歳以上(※年度末時点)、2級は17歳以上であれば、学歴や実務経験に関係なく誰でも受験できるようになりました。
変更前は、年齢に加えて学歴に応じた「数年〜十数年の実務経験」が必要でした。私自身は、建築学部を出ず指定学科以外の大学を卒業して建築業界に就職したため、2級で1~5年、1級で4~5年の実務経験がなければ、受験できませんでした。
この緩和により、建設業界への入社前に在学中から資格取得を目指したり、未経験で異業種から転職したばかりの方でもすぐにチャレンジできるようになり、キャリア形成のスピードが劇的に早まりました。(※第二次検定を受験するためには、所定の実務経験が引き続き必要です)。
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第一次検定で「施工管理技士補」が取得できる
第一次検定に合格すると、「1級(または2級)施工管理技士補」という国家資格が取得できるようになりました。(※この制度自体は令和3年度に新設されたものです)。
この「技士補」を取得しておくと、永続的に二次検定の受験資格がもらえるため、有効期限を気にせずに、資格取得を目指せます。また、未経験から現場に出た際の「専門用語がわからない」「職人の話についていけない」といった壁を乗り越える大きな武器になります。
実務経験に該当する工事の範囲
第二次検定の受験に必要となる「実務経験」は、1級・2級ともに、受験する検定種目(土木、建築、電気など)に対応した工事に限定される点に注意が必要です。例えば、土木工事での実務経験は建築施工管理技士の受験要件としては認められません。複数業務を行う会社の場合は、複数種類の実務経験として扱うことは可能です。自身が在籍する企業で経験できる業種をあらかじめ確認しておくことが重要です。
試験問題の変更
第一次検定では基礎知識を確認する設問が充実し、一部の種目(建築・電気工事など)の応用問題では「五肢二択」から「五肢択一」へ解答形式が変更されました。
さらに第二次検定の「経験記述」では、事前に用意した文章の丸暗記を防ぐため、出題形式が大きく変更されています。従来の自由に記述する形式から、「設問で提示された現場状況や条件に対し、自身の経験・知識に基づいて課題や対策を解答する形式」へと変わったため、より現場でのリアルな対応力が試されるようになります。
【重要】令和10年度までは「旧受験資格」との選択が可能
令和6年度から新制度がスタートしましたが、令和10年度までの間は「経過措置期間」として、従来の旧受験資格での受験も認められています。すでに一定の実務経験を積んでいるベテランの方であれば、旧制度のまま受験したほうが早く資格取得できるケースもあるため、ご自身の状況に合わせて有利なルートを選択しましょう。
また、ご自身が受験する分野によって申し込み先が変わるため、詳細な日程や手続きについては、必ず該当する実施機関の公式サイトをご確認ください。
施工管理技士の資格を取得するメリット

施工管理技術検定の受験はキャリアアップにつながるだけではなく、仕事でできることも広がることが特徴です。受けることでどのようなメリットがあるのか、解説します。
仕事の幅が広げられる
1級施工管理技士の第一次検定に合格して「1級施工管理技士補」になると、現場の監理技術者を補佐するアシスタントとして、専任で現場に配置されることが可能になります。施工計画の立案、工程・品質・予算の管理、発注者との打ち合わせなど、より上流の業務に関わることができるようになり、責任あるポジションを任されやすくなります。
ただし、2級施工管理技術検定の第一次検定で取得できる2級建築施工管理技士補の場合は、資格を取得しても仕事の幅は広がらないため、注意が必要です。
技術のアピールができる
施工管理技術検定を取得することで、技術や知識を客観的に証明できる手段になり、昇給や転職時のアピールに有効です。
筆者自身が建築会社に勤めていた頃は資格の取得だけではなく、実務経験が要求されたため、無資格で建築分野でのスキルを証明する手段はありませんでした。
建築業界での仕事は人手不足による影響もあり、建築分野の経験があるだけで転職サイトのスカウトが自然と集まります。しかし、スキルの証明ができないため、給与面などの交渉が難しくなり、希望を通すことは簡単ではありません。
都合よくいくとは限りませんが、1級施工管理技士の資格があると、対応できる仕事の範囲が広がるため、よい条件での転職がしやすくなるでしょう。
企業の経営規模評価に関わる
施工管理技士資格の有無は、会社の経営事項審査の技術力評価で加点要素となります。経営事項審査とは、建設業者の経営状況を審査するもので、公共工事の審査に影響する審査です。
取得者本人のメリットではありませんが、会社にとってプラスの要素になるため、転職時のアピール効果は高いと期待できます。
「営業所専任技術者」の要件が緩和され、転職で有利に
令和6年度の法改正では、第一次検定合格者に対する「一般建設業許可の営業所専任技術者」の要件も大幅に緩和されました。具体的には、学歴に関わらず「1級一次検定合格で大学の指定学科卒業と同等」「2級一次検定合格で高校の指定学科卒業と同等」とみなされます。これにより、未経験や指定学科以外の出身者でも最短で専任技術者としての要件を満たせるようになり、企業からの評価が格段に上がります。
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合格に向けてのポイント
施工管理技術検定の受験は国家資格で、一定水準以上の勉強ができなければ、合格は難しくなります。そのため、合格率を高めるためには効率よく勉強することが大切です。
次で合格率を高めるためのポイントを解説します。

過去問題から勉強する
テキストを読むことから始めがちですが、合格率を高めるためには、過去問から始めることが効果的です。過去問を解くときには問題ではなく、解説から読み始めてから解くことがポイントになります。
試験の全体像がわかり、勉強すべきポイントがわかりやすくなるため、短い時間で効果的に勉強する上で役立ちます。
過去問で見た問題は、テキストを読んでも自然と目につくため、覚えるべき場所がどこか判断できます。
また、合格までのスケジュールを立てやすくなることもメリットです。たとえば、建築施工管理技士の場合、建築法規の分野が苦手であれば、建築法規を後に回して勉強することで、全体のスケジュールへの影響が少なくなり、挫折しにくくなります。
特に日々働きながら資格取得を目指す場合におすすめの勉強方法です。
勉強方法を工夫する
勉強方法としては、独学・通信講座・スクールに通うという方法があり、自分にあった方法で勉強することが大切です。
独学はコストがかかりませんが、勉強時間やモチベーション確保の難しい点がデメリットです。自身でのモチベーション確保が難しい場合は、スクールで勉強するとスクールで無理なく勉強を進められます。通信講座で、自分のペースを保ちつつ、体系的に学習できることがメリットです。
私は独学で勉強しましたが、仕事後の勉強は疲労からモチベーション確保が難しく、思うように勉強できない日が続きました。喫茶店や図書館などを使い、疲れても勉強できるような環境を作ればよかったと反省しています。
暗記だけでは対応できないものもありますが暗記で対応できる範囲も広いため、無理なく勉強を継続し、少しずつ覚えていくことが、合格するためには大切です。
無理のない計画を立てる
施工管理技術検定を受験し、施工管理技士の資格を取得するためには、それなりの勉強時間が必要です。そのため、仕事をしながらでも、無理なく勉強時間を確保する工夫が求められます。
建築会社で働いていた頃は帰る時間が遅く、朝も早かったため、どのタイミングで勉強すればよいかが問題になりました。時間確保のための工夫としては、以下のものが考えられます。
・同僚や先輩に協力を求めるなど、仕事を早く終われるように工夫する
・音声・動画アプリを利用し、移動時間などに勉強できるようにする
・仕事後の飲み会などの誘いは断り、時間を作る
勉強時間をしっかりと確保し、計画が狂わないようにするためには、事前に対策しておくことが大切です。
まとめ
2024年の制度改正により、施工管理技術検定は年齢制限のみで第一次検定にチャレンジできるようになり、未経験からでも一気にキャリアを加速させることが可能になりました。
まずは第一次検定を突破して「技士補」を取得するだけでも、建設業界での市場価値は大きく跳ね上がります。給与アップやキャリアアップを目指すなら、今すぐ勉強をスタートしてみてはいかがでしょうか。
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