ペディメントとは、西洋の古典様式建築(古代ギリシャ・ローマ建築に由来するスタイル)や、そのデザイン要素を取り入れた建築物に見られる、建物の入口や窓の上部、あるいは切妻屋根の妻側(つまがわ:棟と直角方向の壁面)に設けられる、山形(通常は低い二等辺三角形)の壁状装飾部分のことです。「破風(はふ)」呼ばれることがありますが、日本の伝統建築に見られる破風とはその形状、構造、装飾の様式などが異なる場合が多いため、区別して理解することが望ましいです。ペディメントの基本的な形状は、底辺が水平で上部の二辺が斜めになった三角形ですが、その形態には様々なバリエーションが存在します。ペディメントは通常、下辺の水平なコーニス(軒蛇腹:のきじゃばら)と、それに続く斜めの上辺を形成する二つのレーキングコーニス(傾斜蛇腹)によってその輪郭が縁取られます。そして、これらのコーニスに囲まれた内側の壁面(この部分をティンパヌムと呼びます)には、しばしば彫刻やレリーフ、紋章などの豊かな装飾が施され、建築物の格式や意味性を表現します。その起源は古代ギリシャの神殿建築における切妻屋根の端部の形態にあるとされ、建物の正面性や中心性を強調するための重要な意匠(デザイン)要素として、ルネサンス以降、新古典主義など後世の様々な建築様式において繰り返し採用されてきました。
建設用語集
ペディメント
ぺでぃめんと