AE剤とは、コンクリートを練り混ぜる際にセメント、水、骨材(砂利や砂)と共に少量添加することで、微細でほぼ球状の独立した無数の空気の泡(専門的にはエントレインドエアと呼ばれる)を、コンクリート中に均一に安定して連行させる(意図的に巻き込ませる)作用を持つ化学混和剤のことです。これらがコンクリート中の水と他の材料との界面張力を低下させることにより、練り混ぜ時の機械的な撹拌によって取り込まれた空気を微細な気泡(通常、直径数十~数百μm程度)として安定化させ、コンクリート全体に均一に分散させます。AE剤を使用する主な目的は、コンクリートの様々な性質を改善することにあります。第一に、まだ固まらない状態(フレッシュコンクリート)においては、これらの微細な気泡が、骨材粒子間の潤滑剤のような働きをするため、コンクリートの流動性が向上し、ポンプによる圧送や型枠への打設、締固めといった作業が格段に容易になります(ワーカビリティが改善される)。同時に、材料が分離しにくくなる効果も得られます。第二に、硬化したコンクリートにおいては、内部に存在する無数の微細な独立気泡が、凍結融解作用に対する抵抗性(耐凍害性)を飛躍的に向上させるという、極めて重要な効果を発揮します。これは、コンクリート内部の水分が凍結する際に体積膨張して生じる圧力を、これらの微細気泡が緩和するクッション(逃げ場)の役割を果たすためです。この効果により、凍結と融解が繰り返されることによるコンクリートのひび割れや表面剥離(スケーリング)といった劣化を効果的に抑制できます。また、副次的な効果として、ブリーディング(コンクリート打設後に水が表面に浮き上がってくる現象)を抑制し、コンクリート表面の仕上がりを改善したり、水密性を高めたりする効果も期待できます。
建設用語集
ae剤
えーいーざい